イー・アクセスは6月14日、次世代モバイルブロードバンド技術TD-SCDMA(MC)のフィールド実験結果を公開した。基地局から2km離れた地点でも、理論値の86%にあたるスループットが得られたという。
TD-SCDMA(MC)は、米Navini Networks が開発したTDD(Time Division Duplex:時分割複信)通信方式の一種。ソフトバンクBBやマルチメディア総研が採用しているTD-CDMA方式よりも高速で、約2.6倍のスループットが出せるとされている。イー・アクセスは5月28日に総務省から実験局本免許を取得し、フィールド実験を行ってきた。
TD-SCDMA(MC)のアンテナ。虎ノ門本社ビルから南東方向120°をカバーする |
実験では端末3台を使い、基地局から約2km離れた地点で定点スループット測定を行った。トラフィックの上下は1対1で分割している。理論上の下り最大セクタースループットは5.4Mbpsだが、2km離れた測定値でのセクタースループットは4.65Mbpsとなり、最大値の86%に達したという。セクタースループットとは1セクター(約120°範囲をカバーし、1つの基地局に3セクターが置かれる)が処理できるデータの総量のこと。端末の1台当たりの速度はセクタースループットを接続端末数で分けたものになる。実験では1つの端末あたり834kbps〜2.22Mbpsの速度が出ていた。
「周囲には(基地局を設置したビルよりも)高いビルがあり、ベストな環境とは言いがたいが、予想以上に高いスループットが出た」(イー・アクセス新規事業企画本部長の諸橋知雄氏)。ADSLのようにトラフィックの上下を1対nで分割し、下りをさらに高速化することも可能という。
同社では現在、虎ノ門にある本社屋上に基地局を1局設置して実験を進めている。今後は渋谷と四谷にも基地局を設置し、ハンドオーバー等の実験も行っていきたいとしている。
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