いつくかの地域電話会社では、一部の顧客に対して、もはや市内電話サービスの販売は必要ないとの決断を下している。携帯電話やインターネット電話への顧客流出にあえぐ業界ならではの、驚くべき方針転換といえる。
米大手通信会社のVerizon Communicationsは先週、顧客が同社のDSL(digital subscriber line)サービスは継続したまま、市内電話サービスだけを除外できるようにしたことを認めた。今回Verizonが行なった決断は、今年2月に同様の発表を行ったQwest Communications Internationalの決定に次ぐもので、市内電話サービスが、通信サービスのメニューの中の1つの選択肢に過ぎなくなる時代が急速に近づいていることを示している。
「時代が変わり始めている」と語るのは、調査会社GartnerのアナリストTole Hartだ。「今は携帯電話という代用品があるため、人々は2つめの電話を処分しており、さらに(市内通話市場の)競争がさらに激化していることを考えれば、この動きは納得がいく」(Hart)
市内電話市場では、電話線を迂回する技術の登場によって競争が生まれたため、過去1世紀に渡って市場を支配してきた大手電話会社の強固な統制力は徐々に失われ始めている。今やVoIP技術を使えば、セブンイレブンのような小売業者でも市内電話サービスの販売が可能だ。米国内の大半の主要市場では、すでに大手ケーブルテレビ会社を含むインターネットサービスプロバイダ(ISP)数十社が、市内電話サービスの提供計画を発表している。
米国内で絶大な人気を誇る携帯電話は、市内通話のパターンにも劇的な変化をもたらしている。Hartによると、米国では、大手電話会社の回線よりも携帯電話を使って掛けられる市内通話の方が多いという。およそ4年後には、全携帯電話ユーザーのおよそ3割が「電話線をカットし」、携帯電話1本に絞るという予測もある。また携帯電話は、通常の電話を押し退け、家庭でつかわれる2つめの電話の選択肢としてトップに躍り出た。
さらに、大手電話会社は2001年に史上初めて、サービスを提供している回線数が減少したと発表した。米連邦通信委員会(FCC)が5月6日に発表した報告書によると、2002年の大手電話会社の回線数は、2000年の1億8700万回線からおよそ8%減の1億7200万回線となったという。
実際には、全ての大手電話会社が高収益の見込める市内電話サービスを他のサービスから切り離したいと考えているわけではない。映像、音声、ブロードバンドの三拍子そろったサービスでケーブルテレビ会社と争っている大手電話会社にとって、市内電話サービスと他サービスとのバンドリングは重要な戦略といえる。最近、地域電話会社と衛星テレビ会社との提携が相次いでいる背景には、このような事情がある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力