通信アプリケーション向けICメーカーの日本IDT(Integrated Device Technology)は3月2日、2005会計年度における日本に向けた製品戦略として、次世代多機能携帯電話やデジタルホームネットワーク、通信ネットワークインフラとセキュリティ分野などを対象に、パケット処理を加速化させる半導体ソリューションを強化すると発表した。
米IDTワールドワイドマーケティングのバイスプレジデント トーマス・ブレナー氏 | |
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米IDTワールドワイドマーケティングのバイスプレジデントであるトーマス・ブレナー氏は、日本の市場動向について次のように分析している。「ブロードバンド加入者は増加しており、ブロードバンドを基盤としたホームネットワークサービスなどが本格化しつつある。また、地上波デジタル放送が登場し、デジタルAV機器やホームネットワーク市場のさらなる発展が見込まれる。また携帯電話市場も3Gへの移行が本格的になり、携帯端末自体にテレビやクレジットカードなど多くの機能が備わりつつある」(ブレナー氏)。同氏は、このような現象に対応するための性能と機器を備えた半導体ソリューションを提供し、日本市場での差別化を図るとしている。
IDTでは1万5000種類もの製品を抱えているというが、日本におけるこのような市場背景を元に同社が注力する製品群は、コンテント検査エンジン(CIE)、ネットワークサーチエンジン(NSE)、統合コミュニケーションプロセッサ、フローコントロールマネジメント(FCM)の4つだ。
CIEは、独自の検索アルゴリズムをハードウェア上で実行し、レイヤ2からレイヤ7までのコンテント検査を行うという。ネットワークセキュリティ、不正侵入検知システム、FTTH/DSLアクセススイッチなどをはじめとする分野に、パケット分類のソリューションを提供するもの。
NSEは、マイクロプロセッサの性能強化のため特定分野に特化した補助プロセッサとしての働きを持つコプロセッサと呼ばれるもので、ネットワークプロセッサやASIC、FPGAなどをサポートしてパケット処理や転送を加速させるもの。IDTでは、2003年9月にIBMのNSE技術を買収し、製品ラインナップと技術力の強化を図っている。同社のNSEの売上は毎年100%の伸びを示しているという。
統合コミュニケーションプロセッサとして同社が提供するのは、デジタルホームネットワーク市場をターゲットとしたInterpriseだ。これは、システム帯域幅が広く、回線速度でのデータ処理を可能にするとともに、最終製品に付加価値機能をもたらすスループットを提供するもの。IDTでは、組込型アプリケーション向けに広範囲なソリューションを提供するため、ソフトウェアおよびハードウェアベンダーとの協業も行っているという。
FCMは、データフローの制御に特化したもので、2003年6月にIDTがはじめてこの分野への製品投入を行った。ネットワーク機器内部でデータのフロー制御を提供する同製品は、レートやバスのマッチング、バッファリングなどチップ間の通信プロトコルの問題を解決するもの。FPGAやASICの負担を取り除き、パケットデータの処理を改善するための量産製品だという。
特にCIEとNSE分野については、IDTが業界シェアトップとされているとブレナー氏はいう。同氏は、IDTの経営基盤の健全さや、R&Dへの投資を今後も売上の20%(2003年第4四半期の同社の売上は8700万ドル)とする旨をアピールし、「日本での売上は今後も成長する。パケット処理を加速させるソリューションで、今後も成長していく」と述べた。
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