「ベストエフォートはもう古い」:カスピアン、シスコやジュニパーにない技術で次世代ネットワークを提案

藤本京子(CNET Japan編集部)2004年02月23日 19時13分

 「フローステート技術を備えたルータを採用すれば、専用の帯域制御装置を導入することなく、ネットワークの輻輳の原因となるPtoPトラフィックなどを制御することができる。Caspian Networksの提供するApeiroは、このような次世代のネットワークサービスが提供できる製品だ」--Caspian Networksは23日、同社の提供するフローベースルータApeiroの説明会を実施し、同社ネットワークアーキテクトのリアド・ハルタニ氏が今後のネットワークソリューションに対する同社の提案を語った。

Caspian Networks ネットワークアーキテクトのリアド・ハルタニ氏

 現在のネットワークの構成は、ルータのまわりにP2P帯域制御装置やシェーピング装置、セキュリティ機器など、トラフィックを細やかに管理するための機器が存在し、ルータの機能を補っている。だが個別機器をそれぞれ導入するのは高価であることに加え、ネットワークの構成が複雑になるため管理やオペレーションコストも膨れあがるのが現状だ。フローステート技術を持ったルータは、トラフィックのステート(状態)情報をルータ内で保管、分析するなどして、外付け装置の機能をルータ内に統合するため、ネットワークの簡素化と運用コストの削減が可能になるとハルタニ氏は説明する。

 「従来のルータは、トラフィックの詳細について理解することができず、ネットワークフローの管理ができなかった。きめ細やかな対応ができないため、すべてのトラフィックはベストエフォート型となる。いっぽうApeiroは、ルータ内にさまざまなインテリジェンスを備えているため、IPフローごとに転送速度や継続時間、QoSの要件などを解析し、そのフローを制御することが可能だ。ハードウェアベースで帯域保証が可能となり、個別のアプリケーションに特化したQoSを提供することもできる」(ハルタニ氏)

 このようなルータが力を発揮する例として、ハルタニ氏はPtoPトラフィック管理における活用を説明した。現在ネットワークトラフィックの約50%から70%程度はPtoPトラフィックであるという現状の下、ネットワークプロバイダ各社はPtoPに特化した機器やソフトウェアを採用したりオーバープロビジョニングしたりすることで、ネットワークの輻輳を制御しようとしている。ルータ自体では重要なトラフィックへの優先順位がつけられないため、このような処置を取らざるを得ないわけだが、これではコストがかさむのは目に見えている。Apeiroでは専用装置やソフトウェアが不要となるのはもちろん、このような機器では不可能だった、暗号化されたPtoPトラフィックの判別や、ほかのトラフィックを装ったPtoPトラフィックの制御が可能だという。

 ほかにも、数カ月以内に発表予定の例として、日本の通信事業者がIPビデオ会議でApeiroを採用するケースがあるという。このケースでは、「ルータと(ビデオ会議で必要となる)シェーピング装置を別々に購入した場合と比べて、カスピアンのApeiroを導入した場合のコストは約3分の1となった」とハルタニ氏は説明する。

 ハルタニ氏によると、Cisco SystemsやJuniper Networksといった大手ルータメーカーからも、現在のところApeiroのように各種機器の機能を統合したようなルータは登場していないという。だが、先日Juniperはセキュリティ企業NetScreen Technologiesの買収を発表しており、幅広いソリューションを提供する方向へと向かっていることは確かなようだ。

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