韓国政府は、EUと提携し、IPv6を利用したアプリケーションやサービスの開発を進めることになった。
韓国の情報通信省が発表した声明によると、この合意は先週ベルギーのブリュッセルで開かれていたIPv6関連の国際会議で調印されたという。
IPv6採用に向けた世界的な流れは着実に勢いを増しつつあるが、こうした取り組みの多くは、一定の地域に限定されたものだ。それに対し、今回の発表は、この新しい標準の普及を促すために、地域を越えて協力を進めていこうとする早期の例となる。なお、IPv6は現在主流となっているIPv4通信プロトコルの後継技術として普及が強く求められているものだ。
IPv6への移行に向けた動きは、主として既存のIPアドレスが今後2、3年のうちに枯渇するのではとのおそれから生じたもの。IPアドレス枯渇の可能性はとりわけアジアと欧州で顕著だが、PCやネット接続が可能な機器が大量に出回るにつれて、全世界で問題となってきている。これに対して、IPv6を導入すれば、アドレス空間が(IPv4の)32ビットから128ビットへと増加することから、このIPアドレス枯渇の問題が緩和され、さらに多くの情報機器がネット接続可能になるとされている。
アジアでは、日本、中国、韓国の3カ国が、この新技術を最も強力に推し進めてきており、それぞれの国のネットワーク機器メーカーやIPv6フォーラムのような団体が、そうした政府の動きを後押ししている。
日中韓の3カ国は先月、IPv6関連の開発で協力を進めていく計画を発表した。この取り組みには、NTT、Samsung、SK Telecom、そしてChina Telecommunicationsなどの企業が参加すると見られている。
こうした地域のIT企業以外にも、3com、Cisco Systems、 AT&Tといったグローバルに活動する大手企業がIPv6への支持を表明している。
こうした最近の動きにもかかわらず、 現在のIPv4標準に関する問題は、主にビジネスおよび政治的な理由から、大袈裟に取り沙汰されすぎているという業界団体もある。
APNIC理事長のPaul Wilsonは、CNETAsiaと以前に行ったインタビューの中で、IPアドレスの枯渇が目前に迫りつつあるという悲観的な予言は、眉に唾して聞くべきだと述べている。
同氏によると、現在のIPアドレス利用動向をもとにした推定では、IPv4アドレスが枯渇するのはまだ10年から20年先のことになるという。
Wilsonはさらに、全世界でIPv6を採用することにはそれなりの好ましい理由もあるが、ただしこの新技術を急速に普及させることに利害を持つ関係当事者からの政治的な働きかけがもっと少なくなることを望んでいると語っていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス