カリフォルニア州サニーベールを本拠地とするワイヤレスネットワーキングの新興企業、米アセロスは、株式公開(IPO)を申請した。
米証券取引委員会に11月26日(米国時間)に提出された申請書によれば、同社は1億ドルを調達する見通しで、このうち400万ドルは米Silicon Valley Bankへの返済に充て、残りを運転資本や資本支出を含む事業目的に使うという。
同社代表は、現在のところコメントを差し控えている。
申請内容の詳細によれば、Atherosの年初から9月30日までの総収入は1年前の同時期に比べて3倍以上になり、損失は引き続き出ているものの減少しているという。
Atherosは、802.11aチップを最初に売り出した企業のひとつである。802.11a チップの出荷量はその後、ワイヤレスネットワーキング業界で最大のセグメントである小売市場で、802.11bや802.11gなどのチップに首位を譲り渡している。だが同社は現在802.11b、802.11gチップの主要サプライヤーとなっており 、今後は同業界での地位の拡大、顧客層の多様化、さらには、家電業界などの市場への新たな参入を狙っている。Wi-Fiチップビジネスでは、米Broadcom、米Intel、蘭Philips Semiconductorなどが、Atherosと競合している。
またAtherosは、ODM(Original Design Manufacturer)企業へチップを販売しており、これらのメーカーからの売上が主たる収入となっている。年初から9月30日までの9カ月間の売上の内訳をみると、台湾Global Sun Technologyが全体の28%、台湾AmbitMicrosystemsが全体の19%となっている。これらの企業を含むアジアの顧客全体への売上は、今年9月末までに全体の98%を占める。なお2002年は91%だった。
同社の今年9月末までの売上は4970万ドルで、1290万ドルの損失を出している。昨年の同時期は、売上1650万ドル、損失1620万ドルであった。
同社のチップは、Wi-Fi装置の製造メーカであるD-Link、IO Data、Linksys、Microsoft、NetGear、Philips、Proximなどの製品に搭載されているばかりでなく、Hewlett-Packard、IBM、NEC、Sony、Toshibaなどのパソコンにも搭載されている。
IPOの申請書によれば、Atherosの従業員数は約170人。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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