パワードコムは18日、2003年度中間期決算を発表した。同社の営業収益は825億円、営業損失は48億円で、経常損失72億円の赤字決算となった。本社移転などに伴う費用で特別損失5億円を計上し、当期損失は77億円。
同社は今年4月に東京通信ネットワークと合併し、5月には基本料100円、通話料3分7.5円という業界最低水準の個人向けIP電話サービスを開始した。その後もIP電話事業を拡充するとともに、個人向けインターネットサービスや法人向け通信データサービスにも注力した。12月からは40MのADSLサービスも開始する予定だという。
パワードコムでは社員数を4月1日の2108人から10月1日には1930人まで減らすなど、人員削減を実施し、さらに広告宣伝費用等の販売促進費を削減するなど、業務の効率化やコストダウンに努めてきたが、赤字は免れなかった。パワードコム取締役社長の白石智氏は、「電話・専用・業務受託等のレガシー系事業の黒字を維持し、IP系事業の早期黒字化をめざした合併シナジー効果を発揮する途上での赤字決算だ」と説明する。
パワードコム取締役社長、白石智氏 | |
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事業別の営業損益を見ると、専用線事業が30億円、業務受託事業が14億円の黒字となったが、音声伝送事業は約33億円の赤字、データ伝送事業は約57億円の赤字となっている。
中継電話事業の「東京電話」では、トラフィック減で回線単価が減少したことやマイライン登録回線が減ったことなどにより収益が減少した。個人向けIP電話は5月のサービス開始以降、加入者が約1万件となっており、8月から開始した法人向けサービスは、契約数はまだ数社だが、約250社との商談があったという。法人向けデータ通信事業は、営業損失が約18億円となっているが、広域イーサネットサービス「Powered Ethernet」は順調に回線数が伸び、上期回線数の累計が1万4千回線、全国シェア1位との報告もある。同社では2003年度上期に133億円の設備投資を行っている。
今後の取り組みについて白石氏は、「収入増加に向け、法人事業の営業体制を刷新することに加え、設備の有効利用を検討する。さらにコストダウンに向けた取り組みとして、要員削減による人件費の削減、業務効率化による一般経費の削減、販売促進費の削減、通信設備使用料の削減、設備構築方法や建設費の見直しを行っていく」としている。特に通信設備使用料や設備構築・建設費などの負担は大きく、「この部分のコストダウンに注力していく」としている。
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