英国のプロセッサ設計メーカーARMは、最新の3Dグラフィック技術をハードウェア開発基板に組み込んだ。PDAや携帯電話などの携帯端末に、3Dグラフィックを広く普及させるための一歩となりそうだ。
ARMは、リアルな3Dグラフィックを携帯端末に組み込む技術として、英Imagination Technologiesと共同開発したPowerVR MBXコアを売り込もうとしている。同社は、多くの携帯電話をはじめ、Palm OSやPocket PCのようなPDA端末を動かすチップを設計しており、この3D技術の普及を促進するのに好都合なポジションにある。チップメーカーや端末メーカーは、消費者の関心を惹き付けておけるような魅力的な機能を、熱心に採用している。
ARMは、PowerVR MBXを、同社のRealView Versatile製品群のカスタム開発チップに新たに組み込んだ。RealView Versatileは、ARMベースのプロセッサや端末を開発するのに使われるハードウェア開発ボードで、これによりメーカーはPowerVR MBXを搭載しやすくなる。
Imaginationのバイスプレジデント、John Metcalfeは、発表した声明の中で次のように語っている。「ARMのRealView Versatile製品群により、メーカーは次世代の携帯電話やPDAの設計サイクルを短縮できる。これらの製品には、新たな顧客を呼び込み、また既存顧客の買い換え時に彼らをつなぎ止めておくために、PowerVR MBXの持つ先進のグラフィック処理能力が必要である。
この開発基板は、ARMのコア技術であるPrimexsys Platform ARM926EJ-Sをサポートし、また画像アプリケーションの性能を強化するARM VFP9-Sコプロセッサのような、他のアドオンコアも含んでいる。
PowerVR MBXのライセンスを取得しているチップメーカーはすでにいくつかあり、ワイヤレスチップ大手の米Texas Instrumentsは今年4月、PowerVR MBXを自社のアプリケーションプロセッサファミリのOMAP(Open Multimedia Applications Platform)に採用することを発表した。OMAPは、Palm、Windows CE、Symbianなどを搭載した端末に用いられている。
PowerVR MBXは、消費電力の低い携帯端末にコンソールレベルでグラフィック技術を組み込むことができると言われている。同技術はメモリ要求が低く、直接電力消費と関連しており、これは、携帯電話のような高い統合を必要とする端末には大事な特徴となる。同グラフィックコアを用いた最初の製品は、2004年か2005年に登場すると期待されている。
Imaginationはすでに、アーケードゲームやSegaのDreamcastなどのコンソールにPowerVRアーキテクチャを用いており、ゲームグラフィックに精通したベンダーだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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