機密に関わる業務を扱っている企業だけでなく、すべての企業が、社員や来客が構内にカメラ付き携帯電話を持ち込むことを禁止すべきだと、あるアナリストが主張している。
「ほとんどの企業が敷地内へのカメラの持込禁止をはっきりと打ち出しているが、それと同じように、カメラ付き携帯電話の持ち込みを禁止する具体的なポリシーも必要であり、またそうすることが望ましい」と、IT調査会社米Meta Groupのアナリスト、Jack Goldが語った。
ほとんどの企業は、カメラ付き電子機器を「好ましくないもの」として考えており、「それらの取得と使用を制限」できればと思っている。企業はこのようなデバイスに関し、はっきりとした方針を打ち出すべきだと、Goldは述べている。
大部分のカメラ付き携帯電話の画質は貧弱なものだが、それでも「意図せぬ結果」を招きかねない機密性の高いデータや画像の流出経路となっている、とGoldは説明する。
今後数年のうちに、カメラを携帯電話に搭載するコストがさらに下がれば、ほとんどの携帯電話がカメラを装備するようになるだろう、と同氏は述べた。
「小型の、持ち運びが容易なデジタルカメラも企業にとって脅威だが、出回っている数から言えば、カメラ付き携帯電話ほうが圧倒的に多い。携帯電話を持ち歩くように、出先に常にデジタルカメラを携帯する人はあまりいない」と、同氏は述べた。
Goldは、企業に対して、カメラの機能を使えなくした携帯電話を、社員に配布するよう薦めている。また、来客に対しては、立ち入りを許す前に、携帯電話を一時的に預けてもらうように頼むべきだと考えている。
セキュリティの問題をさらに重視する企業は、携帯電話だけでなく、あらゆる携帯機器もチェックの対象にすべきだ、と同氏は示唆している。
複数のアナリストが、今後5年以内に全世界で10億台のカメラ付き携帯電話が出まわるようになると予測している。これを受け、韓国のSamsungやLG Electronicsのような企業では、機密データが漏れることを懸念して、従業員に研究施設や製造施設内でのカメラ付き携帯電話の使用を禁じている。
産業スパイの他にも、カメラ付き携帯電話の普及で、個人のプライバシーが侵害されるのではないかという懸念が高まっている。盗撮者から一般市民を守るために、プールや更衣室のような公共の場で、これらの機器を使うことをすでに禁止している国もある。
韓国政府は、携帯電話メーカーに対し、カメラ付き携帯電話への「ノイズ発信装置」の装着を義務付ける法律について、検討を加えていると報じられている。
また、韓国の与党、新千年民主党が提出した議案では、メーカーに対して、撮影時に大きな音を発するようカメラ付き携帯電話を設計することを求めている。
英国の電子機器メーカーIceberg Systemsは、Safe Havenという製品のベータテストを行っている。これは、ハードウェア発信器とカメラ付き携帯電話に搭載した小さな制御用ソフトウェアを組み合わせたもので、発信器が取り付けられた部屋や建物に携帯電話が持ち込まれると、自動的にカメラ機能が使えなくなる信号が送られるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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