会員獲得に苦戦するドコモAOL、「隠れたハイスペック」をあらためてアピール

藤本京子(CNET Japan編集部)2003年09月11日 11時51分

 ドコモAOLは10日、都内にて事業戦略説明会を行った。代表取締役社長の山川隆氏がニフティの常務取締役から現職に就任して約1年半が経過したが、同氏は「私が社長に就任した頃、AOLではSo-netやBiglobe、OCNといった大手プロバイダの倍以上のテレビ広告費を使っていた。しかし結局今では何をやっているのかよくわからないと言われる。ここできちんと説明しておきたい」と述べ、これまでの反省点もふまえた現状のサービスの説明や今後について語った。

 山川氏は就任以来、「テレビ広告などよりサービスやプロダクトが第一だ」という方針を貫き、過去1年に無料ウイルスチェックサービスの提供や全国共通のダイヤルアップ接続ナンバーの導入、またAOLのメールソフトが使いにくいといったユーザーの声に応え、マイクロソフト社のOutlook Expressに似たメールインターフェイスを採用するなど、サービスを充実させたことをアピールする。また、これまで正式な発表はされなかったものの、今年に入って同社では新たにVoIPサービスやFTTHへの対応をはじめたり、家族で複数のアカウントを利用している場合でも複数の場所から同時接続が可能になるなど、徐々にサービスを拡充していると山川氏は述べている。

ドコモAOL代表取締役社長、山川隆氏

 山川氏によると同社では、携帯電話の普及に伴いモバイル環境でのインターネット利用が進んでいる背景を受け、「FMC(Fixed Mobile Convergence)」というコンセプトを推進しているという。これはAOLのインターネット網とNTTドコモのモバイル網を融合させるという考えに基づいたもので、パソコンと携帯電話のメールアドレスを共通化させるなど、「使用機器に影響されないサービスを提供するものだ」と山川氏はいう。

 今後のサービスロードマップとして同社では、2003年第4四半期中にAOLサービスとNTTドコモのiモードサービスを融合させた「AOLi」の新サービスや、30MのADSLサービスの開始を予定しており、2004年第1四半期にはBlogサービスや50MのADSLサービスを開始するとしている。

 プロバイダの会員獲得合戦が激化するなか、ドコモAOLの状況はどうなのか。会員の伸びについて山川氏は「はっきり言って苦しい」と明かす。新機種パソコンへサービスをバンドルするなど、積極的なプロモーション活動を行ったものの、思ったほど会員は定着しなかったのだという。何らかの魅力がなくてはユーザーがプロバイダを変更することはないというのが現状だが、AOLの売りは何かとの問いに、「意外と知られていないのだが、AOLのメールボックスの容量は実は16GBもある。これは@Niftyの20MBやYahoo BB!の25MBなどと比べても桁違いの数字で、ブロードバンド時代にふさわしいメール機能だと確信している」と山川氏。今後はこの「隠れたハイスペック」をアピールし、会員獲得に挑む考えのようだ。

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