インテルは6月9日、都内で説明会を開催し、米インテル・フェロー兼コーポレート技術本部コミュニケーション&インターコネクト技術ディレクターのケビン・カーン氏が同社の無線技術に関する研究開発の取り組みについて説明した。
カーン氏によると、処理性能向上のためにインテルがもっとも力を入れているのが、複数の無線機能を持つシステムの開発だという。現在はノートパソコンであれば無線LAN、携帯電話では専用回線の無線WAN(無線広域通信網)といったように、それぞれ1つの方式にしか対応していない。インテルでは今後2005年までに、1つの端末で様々な無線に接続できる技術の開発を目指している。将来的には、1つのプラットフォームであらゆる無線に対応し、瞬時にシームレスな接続の切り替えができる無線ソリューションを提供していくという。
インテルでは最終的に、シリコン上に無線技術を搭載することを目指している。そこで鍵となるのがCMOS技術だ。CMOSは低コストで大量生産できる利点があり、インテルではCMOS上に無線技術を統合していく方針だ。「現在は特殊な技術で無線を搭載しているが、これでは非常にコストがかかる。CMOS技術はすでにインテルがチップセットで採用しており、大量生産によって低コスト化が図れるため、インテルの強みを活用できる」(カーン氏)として、今後積極的な技術開発を進めていく方針を明らかにした。
また、カーン氏は4月のインテル・デベロッパ・フォーラム(IDF)でデモを披露した、短距離の無線高速通信技術であるウルトラワイドバンド(UWB)についても引き続き社内で開発を進めていることを明らかにした。UWBの利点としてカーン氏は、
の3点を挙げた。現在はまだ規格が標準化されていない点が課題だが、標準規格を特に必要としないレスキューなどの分野では2006年までにアプリケーションが市場に出てくるとカーン氏は予測する。
米インテル・フェロー兼コーポレート技術本部コミュニケーション&インターコネクト技術ディレクター ケビン・カーン氏 | |
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ただしインテルでは、UWBの規格が標準化された後に商用化を進める予定だという。具体的な利用法として、カーン氏は特に日本などでのデジタル民生機器の利用に興味を持っていると話した。例えばテレビのディスプレイとDVDプレーヤーをコードでつなぐのではなく、UWBを利用して無線でデータをやりとりするといった用途が考えられるという。
「インテルは無線技術を有線技術に代わるものと考えているのか」という記者からの質問に対して、カーン氏は「よく誤解されているようだが、インテルは無線技術が唯一絶対的なものだとは思っていない」と断言。「有線技術のほうがより良い性能が得られる。無線技術はユーザーに利便性を提供するものだ」(カーン氏)として、あくまでもインテルにとって、無線技術は有線技術の補完的役割を果たすという考えを強調した。
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