Wi-Fiネットワークを利用して、ノートパソコンや携帯情報端末(PDA)、携帯電話などから基本的に通話料無料の電話を実現している企業がある。ワシントン州ベルビューの新興会社、TeleSymだ。
TeleSymでは、同社のソフトウェア技術が、パケットロスなどインターネット伝送で生じるさまざまな問題の影響を最小化する点を、金銭面より重要なポイントと主張している。同社のソフトウェアを介した通話では、音質が向上し、もはや井戸の中にいる相手と電話したり、あるいはタイのチェンマイ郊外にいる相手とハム無線で話しているような、ひどい状態にはならないという。
「多くの人々は、インターネットではパケットロスが生じるため、サービスの質(の向上)が必要だという仮定している。しかしその点を補うことは可能だ・・・(TeleSymの技術は)もともと、インターネットではサービスに関する品質保証がないことを考慮に入れて設計されている。だから、音質は非常に良く、24時間電話し続けても頭が痛くなったりもしない」とTeleSymの最高経営責任者(CEO)Raju Gulabaniは述べている。
TeleSymのシステムは、電子機器を携帯電話として利用するためのSymPhone Clientソフトウェアと、ネットワークに接続して電話をかける2つのサーバアプリケーションで構成される。サーバソフトの1つ、SymPhone Call Serverは企業のファイアウォール内にある電話同士をつなぐもので、いっぽうSymPhone PBX Connectorは社内の電話と外部の一般電話とをつなぐものだ。
SymPhone Nパッケージには、クライアントソフトとCall Serverのみが含まれ、またSymPhone NPパッケージにはクライアントソフトと両サーバソフトが含まれている。
サーバは2つ合わせて3500ドル、クライアントソフトの価格は機器一台につき300〜400ドルとなっている。だが「携帯電話の通話料は一切かからない。旅行先や出張先では、ホテルのブロードバンド接続を使えば済む」とGulabani。
しかし、やはり同社の最大のセールスポイントはサービスの品質だ。Gulabaniは、この音質向上のために、他の設立者メンバーとともに、伝送の中断や遅れを補うアルゴリズムを開発した。
アナリストやパソコン会社の幹部らは何年も前から、コンピュータネットワーク上での電話通話の実現を売り込んできたが、これまでのところあまり目立った成功は収めていない。ただし、現在はVoIP(Voice over Internet Protocol)の人気が高まりつつある。サービス伝送の質は急速に改善している上、電話会社を利用しないことで明らかなコスト削減効果が期待される。このVoIPを推進している主な企業のなかには、Cisco Systemsもある。
Wi-Fiは、本質的にVoIP機能が利用できる範囲を広げるものだ。Wi-Fi対応の携帯機器は、1回の充電で利用できる時間が、通常の携帯電話よりはるかに短い。ただし、モバイルWi-Fi電話は、企業内に設置された既存のネットワークインフラが利用できるので、基本的に通話料は全くかからない。
米国では、各電話会社がまだWi-Fi通話を試験的に展開し始めた程度だが、米国以外では、このアプローチをより広く採用する動きが、かなり急速に進んでいる。情報筋によると、中国最大の移動通信会社China Mobileでは、すでにモバイル電話やノートパソコンにWi-Fi/GPRS(General Packet Radio Service)アクセスをバンドルし始めている。またChina Netcomでは、商業用のビルにブロードバンドとWi-Fiネットワークを売り込んでいる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス