Gartnerは11月末、2011年以降にIT部門およびユーザーへ長期的に大きな変化を与える展望を「Gartner Predicts 2011」としてまとめた。
Gatner Predictsは、毎年同社が調査対象とする全分野を網羅した展望をレポートとしてまとめたもの。ガートナーフェローでマネージングバイスプレジデントのDarryl Plummer氏は総括として「依然としてコスト削減へのプレッシャーが強く、成長の機会が限られ、できるだけリスクを抑えなければならない状況において、社内外の両方の関係者からIT部門に向けられる目は厳しさを増している。企業が今後の計画を策定する中、Gartnerの展望では、このような厳しい監視の目が成果、業務、ユーザー、レポーティングに与える影響に焦点が当てられている。企業がより高い透明性を確保するためには、ITとビジネスの内部統制をより密接に結合させる必要がある」とコメントしている。
Gartnerによると、供給、消費者の需要、規制のバランスの見直しという2010年のテーマは、2011年もほとんどの展望において存続しているが、その視点はより外的な要因に向けられているとする。重要な展望のいくつかは、以下のとおり。
サイバー攻撃は多面的に展開され、最大限の効果を与えるために金融システム (証券取引所)、実際の工場 (化学工場、核施設、発電所の制御システム)、モバイル通信 (携帯電話のメッセージ・ルータ) など複数のシステムがターゲットとなる。
コンテキストアウェアコンピューティング、企業のイノベーションへのIT部門の直接的な貢献、パターンベースストラテジ、ソーシャルネットワークの有効利用といった4つのイニシアチブは、企業の収益を直接高める可能性を有しており、役員および取締役会レベルが、これらによる収益の獲得を期待するのはごく一般的なこととなる。
統合、最適化、コストの透明化などのプロジェクトによって分散されているIT費用の可視性が高まり、「IT部門が主管する」IT支出が増える。
セルフサービス、自動プロビジョニング、スマートメータリングなどクラウドコンピューティングがもたらす新しい環境によってITサービスでのツールの使用と自動化が促進され、工業化されたサービスが提供されるようになる。
非IT企業がクラウドコンピューティングによって非IT機能を提供する流れにより、ITに関する意思決定を行う役割はますますIT部門以外へと広がる。
従業員が個人所有しているノートブックおよびスマートフォンでコーポレートアプリケーションをサポートするトレンドは既に多くの企業で見られるが、これは今後4年間で一般的になる。モバイルデバイスからの利用率を高める主要因は従業員、すなわち、制限が厳しい旧式の会社支給のデバイスを使うよりも自分が所有しているスマートフォンやノートブックで仕事をしたいと考える個人。ITのコンシューマライゼーションのトレンドは、次の段階に入り、ユーザーとIT部門の関心はデバイス、インフラストラクチャ、アプリケーションから、情報および同僚とのコミュニケーションへとシフトする。
AppleのiPadは、コンテンツの作成よりもその消費(また一部はコミュニケーション)に大きく焦点を当てたものであり、メディアタブレットの大きな波の先駆けとなる存在。メディアタブレットのサポート要件は、その利用状況によって企業間および企業内においても異なる。従業員が個人所有のデバイスを仕事で利用する場合、企業はネットワークへの接続(会社のメールおよび予定表へのアクセスを含む)を一定のレベルに制限しながら、最低でもアプライアンスレベルのサポートを提供するとともに、接続性の問題にはヘルプデスクが対応しなければならない。
ソーシャルメディア戦略は、プレゼンスの確立、会話の閲覧、会話(メッセージの発信)、そして最終的な双方向の完全なコミュニケーション関係といったいくつかの段階を踏んで実行される。これまでのところ、多くの企業がプレゼンスを確立し、ほとんどがTwitterのフィードやFacebookのアップデートを通じてメッセージを発信しているが、通常これらはRSSフィードから若干ステップアップしただけのものにすぎない。2015年までに、ソーシャル環境への参加の自動化と体系化が進み、「ソーシャルボット」が登場する。ソーシャルボットは自動化されたソフトウェアエージェントであり、個人に合わせてパーソナライズした形で、さまざまなレベルでユーザーコミュニティとのやりとりをサポートする。
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