VMwareは、米国サンフランシスコで年次カンファレンス「VMworld 2010」を開催中だ。実質的な初日となる8月31日(米国時間)の午前には、同社社長兼CEO(最高経営責任者)のPaul Maritz氏と、CTO(最高技術責任者)のSteve Herrod氏、CMO(最高マーケティング責任者)のRick Jackson氏が次々に登壇し、同社が描くビジョン「IT as a Service」を説明した。
今回の基調講演では、データセンターの“運用管理”や、“コンシューマライゼーション”の重要性を訴える場面が多く、事業戦略のターニングポイントを迎えたと思しき発言が目立った。本稿ではCEOのMaritz氏とCMOのJackson氏の講演を中心に紹介する。
基調講演の冒頭に登壇したCMOのJackson氏は、今回のカンファレンスのテーマ「Virtual Roads. Actual Clouds」について、「クラウドは現実化しているということだ」と説明した。企業内ITの仮想化を推進することがクラウドを現実化し、引いては「サービスとしてのIT」を実現するという意味で、そのためには3つのフェイズを経る必要があるとしている。
まず仮想化導入の第1のフェイズ「IT Production」においては、「コスト削減」がゴールになる。サーバ統合やデスクトップ仮想化の導入により、調達からイニシャルコストまでの費用を縮減しようというフェイズだ。第2のフェイズ「Business Production」は、「サービス品質の向上」が目的。「Microsoft ExchangeやSharePointは、仮想化環境の方がよく走ると言われる。ディザスタリカバリも(仮想化技術を導入すれば)より少ないコストで高い品質の環境を構築できる」とJackson氏は言う。そして最後のフェイズ「IT as a Service」では、クラウドアーキテクチャを通じITをサービスとして提供することで「ビジネスの迅速化」を実現できるという。この段階では、オープンスタンダードと相互運用性が、選択肢の多様化を担保することになると、特に強調していた。
Levi StraussでCIO(最高情報責任者)を務めるTom Peck氏は、仮想化の導入によりさまざまなプログラムやサービスを迅速に提供できるようになり、その結果、より革新的に、より迅速にビジネスを展開できるようになったとしている。また、Hill Air Force BaseのChief IT Systems Architect、Douglas Babb氏は、ビジネスの価値向上をITで実現することがIT as a Serviceだとしている。
「(パブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせた)ハイブリッドクラウドコンピューティングは、今後10年の主流になるだろう。いかに信頼性の高いかたちでITサービスを提供するかが重要だ」(Jackson氏)
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