パナソニックは7月29日、グループ会社であるパナソニック電工と三洋電機を完全子会社化すると発表した。2011年4月をめどに実施する。
現在、パナソニック電工と三洋電機はパナソニックの連結子会社。今回の完全子会社化に伴ない、2社の株主に対して公開買付と株式交換の2つの選択肢を用意し、発行済株式のすべてを取得する。1株あたりパナソニック電工は1110円、三洋電機は138円になる。
完全子会社化に踏み切った理由について、パナソニック代表取締役社長の大坪文雄氏は「今までも企業コラボという形で事業に取り組んできたが、独立性を意識しながらコラボを図るのでは、今の時代の経営スピードに致命的な遅れが出ると実感した。完全子会社化することで、新たな事業展開に一丸となって取り組めると考えている」とスピード感を強調した。
注目される「SANYO」ブランドについては、パナソニックへ一本化すると明言したが「SANYOブランドが強い商品、強い地域については継続する」(大坪氏)とした。
これについて三洋電機代表取締役社長の佐野精一郎氏は「二次電池や太陽電池などは基本的に三洋電機をコアにしてグループ全体のシナジーをどう注入していくか検討していく。一方コンシューマー、白物、デジタル家電については、できるだけ早くワンブランドを進めていくことがグループの利益の最大化につながるだろう。60年以上続いたSANYOブランドが消えていくことに対して寂しい思いはあるが、消費者のみなさまにプロダクトとして親しんでいただけるようなものであれば、パナソニックブランドであっても、三洋電機の気持ちと技術が継続、拡大しているものと考える」と話した。
また、住まいに関連した分野を中心に展開するパナソニック電工の代表取締役社長である長榮周作氏は「今回の決断により、パナソニック電工の社員が真のパナソニックの社員になることになった。弊社の強みを活かして、取り組んでいきたい」と完全子会社化についてコメント。さらに「本日社員全員に完全子会社化することについて語りかけたきた。成長戦略を描くために3社が同じ目線で取り組んでいく」とした。
会見上で大坪氏が繰り返し話したのは、スピードアップと競争力。「従来通り、3社がグループ会社としてコラボを進めていたのでは、とてもではないが、韓国、台湾、中国といった海外企業に勝てない。例えば世界の同業他社は、100m競争のスピードで事業拡大にチャレンジしている。しかし我々は中距離競争のスピードでチャレンジしており、スピードアップの政策をとるべきだと考えた」と現状を話した。
今後は、3社の事業統合や拠点集約、本社組織のスリム化などにより、さらなる経営体質、コスト競争力を強化していくとしている。
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