既報の通り、米Microsoftと富士通はクラウド分野においてワールドワイドで協業することを発表した。Microsoftは、米国で開催中のWorldwide Partner Conference(WPC) 2010で、クラウドサービス「Windows Azure」のアプライアンス製品「Windows Azure platform appliance」を発表しており、今回の協業も本製品を活用したものとなる。
協業の要点は大きく分けて以下の2つ。
(1)は、2010年度末までを目標に、富士通の館林システムセンターから「FJ-Azure」(富士通アジュール)を提供する内容。富士通は自社のデータセンターにWindows Azure platformを設置し、Windows Azure上で開発したアプリケーションなどをユーザー企業、独立系ソフトウェアベンダー、SaaSベンダーなどに提供する。まずは日本からサービスの提供を開始し、順次グローバルに展開する。
競合のサービスとは「高品質サポート」「高信頼性」「高セキュリティ」といった点で差別化を図る。また、Windows Azure用のデータセンターは、北米、南米、北ヨーロッパ、西ヨーロッパ、シンガポール、香港に設置されているが、日本にはないことから、“日本の”データセンターからのセキュアなサービスという点も訴求する。
富士通 常務理事 サービスビジネス本部長の阿部孝明氏は、「富士通はハードウェアにWindows Azureを搭載するのは当然として、企業向けの要求を付加価値として提供する。また、ソフトウェアやサービスのエンジニアを(Microsoft本社のある)シアトルに派遣して(サポートにあたらせることで)、お客様からみると“富士通がお客様をサポートする”というかたちをとる」と、サービスの概要を説明している。
(2)は、富士通とMicrosoftによるアプライアンス製品の共同開発となる。富士通のPCサーバ「PRIMERGY」にWindows Azureを搭載し、アプライアンス化する予定だ。
(1)はWindows Azureに付加価値を提供するというソフトウェア協業の側面が強いが、(2)では富士通の技術者を米Microsoft本社に十数名派遣してハードウェアの検証作業などにあたらせるという側面がある。
また、(1)はアプライアンス製品を富士通のデータセンター内に設置する内容だが、(2)の成果となる製品は企業内での活用も想定している。つまり、プライベートクラウド環境を構築するためのアプライアンス製品という性格も持つ。
阿部氏は、「プライベートクラウド用途としても訴求したい」と抱負を述べつつも、「富士通は、パブリックとプライベートの両輪でクラウドを回す」とバランスを重視して事業を展開する考えを示している。
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