IDC Japanは6月21日、2009年の国内OS市場規模の実績と2014年までの市場規模予測を発表した。IDCによると、景気後退のあおりでクライアントPC、サーバともに出荷台数が大幅に落ち込んだことが、OSの売上に大きな影響を与え、2009年の同市場規模は、対前年比16.9%減の1710億円となった。2009年〜2014年の年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)はマイナス2.4%と予測している。
2009年の国内クライアントOS市場は、クライアントPCの出荷が減少したことが大きな要因となり、前年比19.6%減の1033億円と大幅に落ち込んだ。2009年〜2014年の同市場のCAGRはマイナス4.3%とIDCは予測している。
クライアントPCは、コンシューマー市場ではミニノートブック(低価格PC)の出荷が増加したが、OSから見ると単価が下落することになり、市場を牽引するには至らなかった。市場の90%以上を占めるWindows市場に加え、Mac OS市場もマイナス成長となった。IDCでは、今後クライアントPCの出荷は徐々に回復へと向かってはいくが、ミニノートブックやスマートフォンなどクライアント端末の多様化、労働人口の減少などから、クライアントPCの出荷台数が成長に向かうことは難しく、クライアントOSも減少傾向が続くと考えている。
一方、2009年の国内サーバOS市場は、クライアントPCと同様、サーバの出荷減少が大きく影響し、前年比12.6%減の678億円となった。2009年〜2014年の同市場のCAGRは0.3%とIDCは予測している。
サーバでは、2008年までプラス成長を続けてきたWindows市場が、x86サーバの低迷とともに前年比13.5%減と大幅に落ち込んだ。また、縮小傾向が続くUNIX市場が30%以上のマイナスとなり、さらに拍車がかかったとIDCは分析している。一方、Linux市場は前年比8.6%増と唯一プラス成長を達成。サブスクリプションモデルの定着による安定的な売上と金融や情報サービスなど複数の大型案件が寄与したとIDCではみている。
Windows市場は2010年以降、x86サーバの出荷台数がプラスに転じるとともに回復し、2011年には10.2%と成長率のピークに達するとIDCは予測している。しかし、2014年が更新サイクルの谷間でマイナス成長を見込んでいることもあり、同市場のCAGRは2.9%にとどまるとみている。Linux市場は引き続き高い成長を維持し、CAGRは8.5%と予測。一方、UNIX市場はマイナス4.8%、メインフレーム市場はマイナス8.3%と縮小傾向が続いていくとIDCでは分析している。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ マーケットアナリストの入谷光浩氏は「Windowsを中心に、ハードウェアのOEMで提供されることが多い国内のOS市場は、そのハードウェアの出荷動向に大きく左右されている。こうした状況はベンダーの収益に深刻な打撃を与えるだけではなく、最新のテクノロジを実装したOSの導入を遅らせている。市場の活性化やITレベルの向上を図るためにも、ソフトウェアアシュアランスモデルやサブスクリプションモデルなど、ハードウェアの更新サイクルに依存しないライセンスモデルの採用率を高めていく必要がある」とコメントしている。
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