米国時間6月2日付の複数の報道によれば、電子書籍の価格設定について、大手出版社2社が米テキサス州司法当局による事情聴取を受けているという。
この大手2社はHachette Book GroupとHarperCollins Publishersで、両社はThe Wall Street Journal(WSJ)に対し、いずれもテキサス州の司法当局から連絡を受けたと述べたが、問い合わせの内容について詳細は明らかにしなかった。この直前には、書籍業界向けサイトPublishers Marketplaceが、Appleが同州による事情聴取の対象になったと報じている。
HachetteとHarperCollinsは、Appleの「iBooks」プラットフォーム上で電子書籍を公開している大手出版社6社のうちの2社にあたる。
Appleが電子書籍に参入したのは比較的最近だが、「iPad」および同端末向けのアプリケーションストアiBooksを発表したことで、大きな注目を集めた。その理由の1つは、Amazon.comがすでに電子書籍の価格を9.99ドルで定着させていたのに対し、Appleがベストセラー書籍の最低販売価格を12.99ドルまたは14.99ドルにすることにこだわった点だった。
その結果、大手出版社の大多数は、AppleのiBooksに加え、他の電子書籍ストアでも自社の書籍を値上げした。Appleの動きは、書店が書籍の価格を決定するという、米国における既存の出版モデルをも一変させることになり、今では出版社が自ら価格を設定するようになった。
Appleの電子書籍への進出にテキサス州が関心を寄せているのも、これが理由かもしれない。ただし、Appleが電子書籍市場に参入したばかりであることを考えると、今回の件はいささか興味深い。Appleが支配的な地位を占めているデジタル音楽とは異なり、電子書籍ではAmazon.comやBarnes & Nobleに対してAppleは新参者だ。先行する2社はいずれも、電子書籍のほか、それを読むためのハードウェアである電子リーダーも販売している。
Appleが独占禁止法規制当局による事情聴取を受ける機会は増え続けている。5月25日には、デジタル音楽事業に関するAppleの支配力について、米司法省(DOJ)が音楽業界幹部に対する事情聴取を開始したと報じられた。また米連邦取引委員会(FTC)と司法省も、Appleとソフトウェア開発者の取引関係、およびそれによりAppleが同社製品から競合各社を不当に締め出している可能性について、予備調査を開始している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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