日本マイクロソフトは9月6~7日、都内で経営者や役員など業務に責任を持つビジネスリーダーを対象にしたイベント「Microsoft Foresight」を開催。1日目の基調講演に登壇した同社 代表取締役 社長 平野拓也氏は、同イベントについて「洞察とトレンド、技術が果たす役割を考えていくという意味を込めて(イベント名を)foresight(展望)と名付けた」と紹介した。
平野氏は、デジタルトランスフォーメーションの4象限として、「お客様とつながる」「社員にパワーを」「業務の最適化」「製品を変革」を提示。
「お客様とつながる」については、3月に発表したソフトバンクロボティクスとの協業を引き合いに、「労働人口が減少するなか、Eコマースによる競争の過熱化に対応するには、クラウドロボティクスというカテゴリーの変革推進が必要」(平野氏)だと述べ、PepperとAzure、Surface Hubを使ったロボット接客のデモンストレーションを披露した。
「社員にパワーを」では、富士通が働き方改革のために全従業員向けにOffice 365などを導入した事例を紹介した(関連記事) 。富士通 代表取締役社長 田中達也氏はビデオメッセージで、「Office 365を通じて電話を含めたすべてのコミュニケーションが可能になる。このコミュニケーション環境を顧客にも提供し、デジタルトランスフォーメーションを支援していく」と発言した。
「業務の最適化」については、PCやスマートフォンなど外部デバイスを必要としないホログラフィックコンピューター「HoloLens」を挙げ、「今後の重要な投資分野に位置付けている」と平野氏。ここで、HoloLensを従業員の教習に用いることを発表した日本航空 商品・サービス企画本部 営業部 業務グループ グループ長 速水孝治氏が登壇し、「安全に訓練生に(実習に必要な)エンジンを見せられるのが大きい。今後はカスタマーエクスペリエンスの向上と、世間を驚かせるようなアプリケーションを開発したい」と今後の方向性を示した(関連記事)。
最後の「製品を変革」について平野氏は、Microsoftとトヨタ自動車の提携に伴って設立した「Toyota Connected」や、パナソニックが自社製品とクラウドを連携したサービスを提供するためのクラウドサービス基盤「PCPF(Panasonic Cloud Service Platform)」は、すべてベースにあるのがMicrosoft Azureだと紹介した。日本マイクロソフトは2017年度の目標として、全体売上に占めるクラウド分野の売り上げを5割にすることを目指しているが、「クラウドビジネスは(顧客に)使ってもらわないと実現できない。だからこそ技術や事例、協業を通じて(目標達成を)目指したい」(平野氏)と説明していた。
また、注力サービスの1つである「Microsoft Cognitive Services」を活用したビジネス展開として、リクルートキャリアとの協業を発表。詳細は既報のとおりだが、リクルートキャリア 商品本部 事業開発室 執行役員 木塚啓介氏は、「1995年から2025年までの20年間で、労働人口減少や産業構造変化、技術の発展の結果、働き方が変化している。だが、働き方の多様性と企業の生産性は相いれない。ここを結びつけるために“働く喜び”が重要」とHRテックの開発理由について説明した。
基調講演では、東日本旅客鉄道 取締役副会長 小縣方樹氏も登壇した。1995年に登場したWindows 95を早期にイントラ端末として配備するなど、日本マイクロソフトと長く蜜に付き合ってきたという。「今後も日本マイクロソフトと広く協業を続けていく」(小縣氏)と語った。
また、日本マイクロソフト 執行役員 会長 樋口泰行氏と宇宙飛行士 山崎直子氏との対談も行われた。樋口氏が、宇宙でのHoloLensの利用の可能性ついて尋ねると、「宇宙ステーションの中はモノで溢れている。配電の裏に電源や空調装置などが隠されているので、事前に3Dで場所を把握できると便利」と山崎氏。また、宇宙飛行士の訓練でも、「マニュアルがインタラクティブになれば、手順のスキップや分岐がしやすくなる。HoloLensでマニュアルを見ながら対応できるのは素晴らしい」(山崎氏)と可能性を示した。
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