英政府が、インターネット関連企業に顧客のウェブ閲覧データを1年間保存することを義務付ける新たな監視法の草案を公示した。
この新法はまた、警察および情報機関が被疑者のコンピュータに侵入する権限に明確な法的根拠を与えるものでもある。さらにはインターネットユーザーに関するバルクデータの収集に関して、政府に可能な事柄の詳細を示している。ただしインターネット関連企業には、強力な暗号化の利用という手段がグレーエリアとして残される。
今回草案が公示された「Investigatory Powers Bill(調査権限法案)」の狙いは、監視行為についてさまざまな法律が適用されている英国の現状を改め、単一の法律に置き換えることにある。
英政府によると、その草案は、警察と諜報機関の情報収集活動に対する監視を強化するものだという。例えば、傍受令状を対象に「ダブルロック」を導入することで、通信傍受令状に大臣が署名しても、判事がそれを承認しなければ令状の効力は発生しなくなる。
しかし、国家の監視能力を最も強化するのは、顧客のウェブ使用履歴の記録保持を通信事業者に義務づける要件だ。
法案はこの要件について、インターネット接続記録(ICR)の保持と説明している。現在、通信事業者にこのデータを保存する義務はないため、法執行機関は既知の容疑者について、断片的な情報しか収集できないことがよくある。
ICRは、特定の端末が接続したインターネットサービスの記録で、それには「ウェブサイトやインスタントメッセージングアプリケーションなど」が含まれる、と英政府は述べた。
草案についての協議は今後数カ月にわたって行われる予定で、修正案は2016年に英国会に提出される見通しだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」