Twitterは7月16日、日本オフィスでサービスを開発するエンジニアの本格採用を始めた。採用者は、2014年末に結成された「事業成長戦略チーム」の日本のエンジニア部門のメンバーとして、日本ユーザー向けのサービスを開発したり、それを世界に展開したりする役割を担う。
事業成長戦略チームは、利用者数や広告主数が順調に伸びているという日本市場に特化したサービスを提供するために立ち上げられた。日本での採用計画について、同社シニアエンジニアディレクターのアカッシュ・ガーグ氏は「採用数に上限は設けず、“よいエンジニア”を見つけてどんどん雇っていく」と説明する。
現在、Twitterの世界全体の月間アクティブユーザー(MAU)数は約3億200万人、1日のツイート数は約5億件で、モバイルからの利用率が約8割を占める。日本のユーザー数は明らかにされていないが、Twitterが魅力を感じているのは、日本のユーザーが独特なTwitterの使い方をしている点だ。
Twitter Japanの執行役員で事業成長戦略本部長の牧野友衛氏によれば、日本では、テレビを見ながらツイートをする人が多いほか、地震や台風などの自然災害時、電車の遅延時などにツイートをする人や、それを見てどのような状況かを確認する人が多いという。こうした傾向は他国でも見られるが、日本ほど際だってはいないそうだ。
牧野氏は「日本のユーザーによるTwitterの使い方を次の製品開発に生かし、新たなTwitterの使い方を提案したい。日本での成功事例を世界に広げることで、Twitterがソーシャルメディアという枠組みを超えて、日々使える便利なサービスになるのではないかと考えている」と事業成長戦略チーム結成の意図を明かす。
事業成長戦略チームが最初に手掛けたのが、7月1日にTwitterのiOSアプリに実装された「ニュース」機能だ。もちろん、これも日本のユーザーだけに提供している。
ニュース機能はTwitterで話題になっているニュースをまとめて表示するもので、画面下部に新設されたニュースタブをタップし、ニュースの見出しをタップすると、そのニュースの概要、全文記事へのリンク、そのニュースに関する他媒体や他ユーザーからのツイートを閲覧できる。ニュースは独自のアルゴリズムにより抽出され、リアルタイムに入れ替わる。
ニュース機能を開発した、Twitterのシニアプロダクトマネージャーである鈴木宏輔氏は「Twitterが“情報収集のツール”として認知されるようにしたい」と思いを語る。すでにTwitterを情報収集に活用している人がいる一方で、膨大な情報の中から重要なものを思うように入手できていないユーザーも多いという。そういった人の助けになるような機能として、ニュース機能を開発した。
日本にエンジニア部門を作る利点は、単純に国内でサービスを展開しやすくなるだけではない。鈴木氏は「日本人のエンジニアやデザイナーと仕事をすると、日本のユーザー向けのデザインやUIに対して共通認識があるため、阿吽の呼吸で作業を進められる」と自らの経験を語り、「日本人による、日本のためのプロダクトが、今のところは重要」と強調した。
Twitterが一から開発拠点を立ち上げるのは、米国以外では日本が初めて。なお、これまで、英語以外の言語で初めて対応させた言語は日本語で、初めて設立した現地法人は日本だった。
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