自爆するデバイス「VAPR」ウェア、IBMが開発へ--DARPAと契約を締結

Liam Tung (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部2014年02月07日 13時22分

 IBMは、命令によって消滅する、遷移性を有したデバイスの開発契約を米政府から勝ち取った。

 IBMが手にしたこの新たな作業の性質を考えた場合、契約の相手が米国防高等研究計画局(DARPA)であることは想像に難くない。DARPAは2013年に入ってから、「Vanishing Programmable Resources」(VAPR)の推進を発表していた。

 VAPRウェアというアイデアにより、商用の電子機器では耐久性がありすぎるために、戦地などの場所で敵側に対する情報源となり得るという問題に対処する、遷移性のある電子製品という新たなジャンルの機器がもたらされる可能性もある。

 DARPAはVAPRに関するウェブページで「Vanishing Programmable Resources(VAPR)プログラムは、制御されたトリガー可能な方法で物理的に消滅する機能を有した電子システムの開発を目的としている。こういった遷移性のある電子機器は、商用電子機器と同様のパフォーマンスを有しながらも、プログラム可能であり、リアルタイムで調整でき、トリガー可能であり、そして/あるいは配備された環境に感応できるよう、永続性に制限が加えられている必要がある」と記している。

 IBMが勝ち取った340万ドルという契約で提案されたのは、無線電波(RF)を用いたトリガーによって、(デバイスのディスプレイに用いられているような)ガラスのコーティングを破壊し、シリコンチップを粉々にするという手法だ。

 IBMの説明では「IBMの計画は、強化ガラス基材がその応力によって粉々になるという性質を利用することで、基材に貼り付けられているCMOSチップをSiとSiO2(ケイ素と二酸化ケイ素)の粉末に破砕するというものだ」となっている。

 IBMの説明によると「信管、あるいは反応性のある金属層といったトリガーを用いて、ガラス基材上の少なくとも1カ所を破壊する。こういったプロセスを引き起こすには、外部からの無線電波による信号が必要となる。IBMはガラスの破壊を効果的に行うさまざまな方法と、貼り付けられたケイ素使用のCMOSデバイスにその衝撃を伝える技術を探求する」という。

 DARPAが考えているこのデバイスの軍事応用例として、大規模な区域を監視するセンサ群に加えて、戦場での兵士の診断や治療、健康状態の監視といったものがある。

 DARPAは「自然環境で分解する(エコリゾーバブルな)センサによって広域に展開する分散ネットワークを構築することで、一定期間のみ重要なデータを入手できるようになる可能性がある。あるいは、体内で再吸収される(バイオリゾーバブルな)デバイスによって、戦場における兵士の継続的な健康状態の監視や治療が可能になるかもしれない」と述べている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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