jig.jpは5月7日、モバイル向けTwitterクライアント「モバツイ」などを提供するマインドスコープの全株式を5月1日に取得し、完全子会社化したことを明らかにした。買収額は非公開だが、数億円前半とみられる。
マインドスコープの提供するモバツイは、ウェブサービスとしては日本初となるモバイル向けTwitterクライアント。ユーザー数は160万人に上る。
jig.jpでは、これまでに自社で提供するモバイル向けTwitterクライアントアプリ「jigtwi」をカスタマイズし、マインドスコープに「モバツイスコープ」としてOEM提供するなど、業務提携を行ってきた。今回、両者が運営するサービスの更なる普及や事業拡大のためには、両社の統合が最適であると判断し、買収の合意に至ったとしている。
jig.jpが狙うのはユーザー層の拡大だ。フィーチャーフォン向けのブラウザアプリ「jigブラウザ」をコンシュマー向けサービスの中核にしてきた同社は、ITリテラシーの高いユーザーの認知は高いが、一般層のへのリーチに乏しい。
また、これまでビジネスの中心となっていたフィーチャーフォンからスマートフォンにターゲットの移行を迫られているが、「スマートフォンで、まったく新しい層のユーザーをすぐに取りに行くのは困難。特にAndroidには(ITリテラシーの面で)一般の人が多く、jig.jpの認知度は低い」(jig.jp取締役 経営本部長の櫟木(いちき)明氏)という。
一方のモバツイは、ユーザーの8割が女性であり、中でもF1層(20〜34歳の女性)が多い。またフィーチャーフォンから始まったサービスながら、ユーザーのスマートフォン向けサービスへの移行も比較的スムーズに進んでいるという。こうした経緯から、ユーザー層の補完を目指し、今回の買収に至った。
ともすれば競合するサービスを持つ両者だが、まずはウェブサービスに関してはモバツイ、アプリに関してはjigtwiにサービスを集約していくという。将来的にはブランド面でも統合を図る予定だ。
jig.jpでは今後も条件さえ合えば積極的に買収を行うとしている。「ゲームは(M&Aを)やらないと言い切っているが、補完しあえる関係のスタートアップとは話をしていきたい」(櫟木氏)
マインドスコープの社員は、今後も継続してモバツイの開発を行う。一方でマインドスコープ代表取締役社長の藤川真一氏は、今回のM&Aを受けて取締役から退任し、顧問のような立場でモバツイの開発を支援していくという。
藤川氏は今後について、「ずっとモバツイで生きてきたので、技術の勉強もして、そのあとは次のチャレンジをしたい」と語る。jig.jpが福井県に拠点を持つことから、「地方に強い企業なので、何か一緒にできることを考えたい。そのためにもまずはコラボレーションするための材料を作らないと」(藤川氏)としている。
藤川氏は起業前にpaperboy&co.に所属していた。同社の創業者であり、マインドスコープの役員でもあった家入一真氏が手がけるpartyfactoryの投資先などに対しても、技術的な支援なども行っていくという。「いろんな人との関わり合いがなくなると浮世離れしてしまうので(笑)。具体的な話はまだないが、『一緒にやろう』と言っている人たちもいる」(藤川氏)
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス