東日本電信電話と西日本電信電話(以下、NTT東西)による光ファイバ回線の貸出方式が不公正だとして、ソフトバンクBBとソフトバンクテレコム(以下、ソフトバンク)は11月18日、NTT東西を提訴したことを発表した。
NTT東西では、一般家庭までの光ファイバ回線の設備を1分岐でなく、最小でも8分岐単位(1芯単位)で貸出している。これについてソフトバンクは、「1分岐単位の回線接続」を求めているが、NTT東西がこれを拒否していると説明。「1回線の利用であっても8回線分の接続料を負担させる」ことから新規事業者の参入障壁が高く、FTTH市場は事実上NTT東西の独占状態にあると主張している。
提訴に踏み切った背景についてソフトバンクは、「総務省による審議会で何回も議論されているが、現状(FTTH事業に)参入できないという実態がある。これは電気通信事業法上の問題でもあるが、競争法上の問題でもあるのではないか」と答えた。
また、提訴の影響については「裁判自体も数年かかると思うので、すぐに影響はないと思っている」としたが、これまでとは異なる司法の場で、独占禁止法に違反するという争点で議論されることを期待したいとした。
この一方で、提訴されたNTT東日本は「光ファイバの接続についての当社の対応は、これまで情報通信審議会などで繰り返し述べさせていただいた通り極めて正当なもの。今後も係争していく中で、当社の正当性をしっかりと主張していきたい」と語った。
そのうえで、“光ファイバ回線の分岐貸し”という接続形態には「さまざまな問題がある」と話す。現在、光ファイバ回線は1芯単位で事業者に貸出されており、そこから先の8分岐の振り分け方は各事業者に委ねている。ソフトバンクが主張しているように技術的には「1分岐単位の回線接続」も可能だが、そうなると現在の設備では高品質なサービス提供が難しいという。
1分岐単位で貸出した場合に、1芯を他社と共同で使う場合もあるだろう。そうした場合に、例えばNTT東日本は帯域を保証するサービスを提供しているが、他の事業者が「料金を極端に安くする代わりに帯域を保証しない」といった設定をしてしまうと、顧客に安定的に高品質なサービスが提供できなくなる可能性が出てくるとしている。
また、1分岐単位で貸出しを可能にするには膨大な設備投資が必要になるとし、「そのための設備投資コストを一方的にNTT東日本が負担するべきなのかというと、そうではないと思っている」とコメント。これらの観点から引き続き同社として正当性を主張したいとした。
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