日本証券業協会会長の前哲夫氏は、2月15日に開かれた記者会見で、加速するMBOの流れについて「非常に残念な傾向」とコメントした。
発表日ベースでは、2010年に13社、2011年に入ってからもすでに6社がMBOをしている状況。「(MBOが)加速していると言わざるを得ない状況」(前氏)
MBOによる非上場化の理由については、(1)最近の投資家が短絡的な結果を求める傾向にあることやM&Aの対象になりやすい状況にあること、(2)株主に左右されない中期的な経営に取り組みたいという考えが出ていること、(3)上場企業に必要な事務作業やコスト増、低金利での融資が受けやすくなっていること--などを挙げている。
前氏はまた、企業が経営の自由度を求めたり、株価が安いからという理由でMBOをするという気持ちはわかるとした上で、「社会的な信用度や高いレベルでの経営という観点から、(株式を)公開していた方がその企業の成長には役立つのではないか」と語った。さらに一度公開した会社が、非上場化していく傾向について「非常に由々しき問題」とした。
今後は引き続き、上場による信用度の向上や資金調達の実現といった上場によるメリットが認識されるよう、市場環境を整えていくという。
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