一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)は5月19日、2010年定例記者会見を開催し、2009年度の活動結果を報告した。2009年度の使用料徴収額は前年度比3.1%減となる1094億6429万7713円となった。減収額は過去最大の約35億円。
動画ストリームやダウンロードといったインタラクティブ配信の徴収額が増加し、前年度比6.3%増の94億4716万1779円となった一方、オーディオディスクの売上が大幅減となり、聴取学は169億3895万6150円(同17.4%減)、テレビをはじめとした放送等も不況の影響から271億7860万8661円(同2.1%減)となった。
インタラクティブ配信の内訳では、動画共有サイトなどの「動画等ストリーム」が前年度比43.8%増の7億6720万1359円となった。JASRACではYouTubeやニコニコ動画、GyaOなど20弱のサービスと利用許諾契約を結んでいるが、これらの徴収額が増加した形だ。またPC向け音楽配信や着うたフルなどの「ダウンロード」も好調で、51億1988万9528円(前年度比18.2%増)となった。その一方、「着信メロディダウンロード」は8億682万2721円(同29.1%減)、「オリジナル音源着信音」は14億3225万9792円(同20.6%減)と減少した。
私的録音補償金は、前年度比35.5%減の1億3686万7520円となった。現在、iPodをはじめとした携帯音楽プレーヤーは補償金の対象外となっている。JASRAC常務理事の菅原瑞夫氏は、「(これらの製品が)新たに補償金の対象製品として指定されない限り、金額は増えない」とした。私的録画補償金については、Blu-ray Discが対象となったことから、前年度比1.5%の微増となる2億3311万4828円となった。
JASRACは、4月1日付けで公益法人から一般社団法人へと移行している。これについてJASRAC理事長の加藤衛氏は、「厳しいガバナンスを求められる組織にならないといけない。まだ移行数カ月だが、これまでの事業を棚卸しし、新しい組織として事業の原点に立ち戻る」とコメント。移行にあわせて、ボスニア・ヘルツェゴビナで設立された著作権管理団体である「SQN(Sine Qua Nonの略。ラテン語で「必要不可欠な」の意)」の理念に基づいて事業を推進するとした。
今後はネットでの著作権管理を強化する。「(ネット主体となる)流通の変化によって、技術的にも今までのやり方では管理不可能。日本だけでなく世界中の団体が苦しんでいる」(加藤氏)
JASRACは、一般社団法人著作権情報集中処理機構(CDC)が運営する著作権管理システム「Fluzo」の開発に協力。4月から稼働した同システムは、現在音楽配信事業者10社と音楽著作権管理事業者4社が利用しており、2010年度内には50の配信事業者が利用する見込みだという。「ネットでの著作権管理の仕組みを日本が開発し、世界のモデルになる」(加藤氏)
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