ソフトバンクモバイルは2010年3月期第4四半期(2010年1〜3月)において、初めてデータ通信による収入が音声収入を上回った。携帯電話が電話からモバイルインターネット端末に移行したことを示す兆候と言え、「モバイルインターネットを制するものがインターネットを制する」と断言するソフトバンクグループにとって、大きな一歩となった。
ソフトバンクによると、ソフトバンクモバイルの第4四半期のデータARPU(ユーザー1人あたりの月額利用料)は2140円となり、基本料と音声ARPUの合計1750円を上回った。前年同期で見ると、基本料と音声ARPUの合計が270円減となったのに対し、データARPUは320円増となっている。総合ARPUは前年同期比60円増の3890円。通期ではデータARPUが2020円、基本料と音声ARPUの合計が2050円、総合ARPUが4070円となっている。
ソフトバンクモバイルを含む、ソフトバンクの移動体通信事業の2010年3月期通期業績は、売上高が前年同期比8.9%増の1兆7014億円、営業利益が同52.2%増の2609億円となった。
解約率は前期から0.37ポイント上昇し、1.37%となった。2010年3月末で第2世代携帯電話のサービスが終了したことに伴い、解約数が増えたのが1つの要因だ。ただ、第3世代携帯電話だけをとってみても、解約率は前期比0.29ポイント上昇の1.06%となっている。端末を2年契約で購入したユーザーが満期を迎えて解約したためとソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏は説明している。「第3世代携帯電話の解約率は1.1〜1.2%のところで今期は落ち着くだろう。(端末の購入)サイクルが落ち着いたので、これ以上急増することはない」(孫氏)とした。
新規顧客を獲得するための手数料の平均単価は前期比1400円増の4万500円となった。iPhoneの端末価格が実質0円になる「iPhone for everybodyキャンペーン」などの積極的な販売促進活動をしたためと説明している。
2011年3月期には、第3.9世代携帯電話向けの周波数帯である1.5GHz帯を利用し、「DC-HSPA」と呼ばれる方式を使った高速無線通信サービスを提供する方針だ。孫氏によると通信速度は下り最大42Mbpsになるといい、第4四半期(2011年1〜3月)をめどにサービスを導入する考えであるとした。
ソフトバンクモバイルは4月27日、月額980円の料金プラン「ホワイトプラン」を2年契約型に変更している。この理由について孫氏は「NTTドコモやauも、事実上は“2年縛り”になっている。他社がやっている業界慣行に『右にならえ』をしたものだ。多くのユーザーは端末を2年割賦契約で購入しているため、実態としては今までと変わらない」とし、一部で指摘されている「改悪」との声に反論した。
なお、ソフトバンクの2010年3月期通期連結業績は、移動体通信事業が牽引したことで、売上高が前年同期比3.4%増の2兆7634億円、営業利益が同29.7%増の4658億円、純利益が同124.0%増の967億円となっている。
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