“日本版フェアユース”と呼ばれる「権利制限の一般規定」の導入を検討している、文化庁の文化審議会著作権分科会法制問題小委員会の2010年度第2回会合が3月17日、開催された。
例年は3月以降に初会合が開かれている同小委。しかし今期は3月中の中間報告書とりまとめを目指しているため、前回から前倒しで開催されている。今回の会合ではまず、前回までの議論の内容をまとめた中間報告書の素案を事務局が提示した。素案は全4章で構成されており、このうち未定稿となっている一部を除いた内容について、意見交換がなされた。
同委員会では、前回までの会合をふまえ、「権利制限の一般規定について、導入を前提とした議論を続けていく」という合意がなされている。
今回提示された素案では、第3章の「権利制限の一般規定を導入する必要性について」の項目で議論の経過を報告。インターネットの発達により、著作物の利用形態が多様化するなかで、個別の権利制限規定の解釈や改正では解決できない可能性があること、そして著作権に特化した権利制限の一般規定を著作権法に導入すれば、規律の明確化が図れるといったことを挙げて、一般規定導入の意義を明示した。
また、続く第4章では、同委員会の下に設けられた専門のワーキングチーム(WT)で整理された、一般規定の導入における検討課題がまとめられた。この章で核となるのは、いわゆる“形式的権利侵害行為”で、実質的には権利侵害と評価できない場合であっても形式的には権利侵害に該当してしまう場合の検討結果が示されている。
前回までの議論では、形式的侵害行為を次の3つの類型に分類した。
今回の会合では、いわゆる“写り込み”にあたる類型Aについて、委員の意見が集中した。写真や映像の撮影に伴い、本来行為者が想定している被写体とは別に、付随的に著作物が複製されてしまう場合のことだが、前回の会合では「意図的な“写し込み”の場合は形式的侵害にあたるのか。不可避ではなく知覚できる場合もフェアユースなのか」という指摘がなされた。
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