Appleが米国時間12月4日、Lalaを買収した。もっとも、Appleが音楽ストリーミングサービスのLalaに多額の買収金を提示した可能性は低い。
今回の買収交渉に詳しい情報筋が筆者に述べたところによると、AppleはLalaのエンジニアの一部を引き入れることに興味があるという。4年前に創設されたLalaは、ユーザーのハードドライブをスキャンして、ユーザーがウェブ対応デバイスからアクセスできる音楽ライブラリを作成する。さらに、同社は1曲10セントでの楽曲販売も手がけている。先の情報筋によれば、AppleはLalaの技術に感銘を受けているという。
筆者は4日、今回の買収交渉に関する記事を掲載した。Appleは「うわさや憶測」についてコメントすることを避け、Lalaの広報担当は取材に応じなかった。
The New York TimesのBrad Stone氏は記事で、Appleが特に関心を抱いているのはLalaの優秀なエンジニアを手に入れることだと、情報筋の話として述べている。しかし、同記事は以下の文も付け加えている。
「(AppleとLalaの)交渉は、Lalaが短期間で収益を上げられる見込みは低いと同社幹部陣が結論づけたことから始まった」とStone氏は書いた。「(Lalaは)AppleのiTunes担当バイスプレジデントであるEddy Cue氏と、投資の可能性についての交渉を開始した」(Stone氏)
Lalaが利益を出すのに苦労しているという話は、この1年間のデジタル音楽に関する暗いニュースとも一致している。広告による音楽サービスを含む、新しくて実験的なビジネスモデルの多くは失敗に終わった。今検討する意味のある唯一の問題は、こうした再編がいつまで続くのか、ということだ。
1月には、Ruckusが失速し、閉鎖に追い込まれている。3月には、SpiralFrogが華々しく散った。MySpaceはiLikeを買収した。そして、情報筋によれば、MySpaceは11月にImeemを買収したらしいが、正式には発表されていない。
Lalaがそうした企業と異なるように思えるのは、同社が長い間、音楽レーベルから好意的な評価を得ていたということだ。過去に、一部の大手レコード会社の幹部陣が、Lalaの経営陣と最終損益を重視する姿勢を尊敬している、と筆者に話してくれたことがある。2009年の春、Lalaがもう何回目か分からないサービス刷新を行った後、レーベルの幹部陣はいくつか良い兆候が見えたと述べた。Lalaは創設時、インターネット上でユーザーがCDを交換できる仕組みを作ろうとすることで、有名になった。しかし、その試みは失敗に終わった。
その後、10月にはGoogleがミュージシャンに関する情報を検索するユーザーにLalaの音楽を提供するという発表があった。これはLalaにとって朗報かもしれない、と一部の評論家は述べた。どうやら、その頃にはLalaの運命は既に決まっていたようである。
従って、われわれは最初と同じ状況に戻ってきたとも言える。デジタル音楽の世界で勝利者であることが証明されたのは、Appleとダウンロード販売である。
シリアルアントレプレナーでMP3.comの創設者でもあるMichael Robertson氏が2009年に入ってから筆者に述べたところによると、音楽業界への参入を切望する新しい企業は常に出てくるので、ImeemやLala、そのほかのライバルたちがいなくなっても大した問題ではないという。
「魅力的な市場なのだ」とRobertson氏は述べた。
それが本当だとすれば、次に出てくるのはどのような企業なのだろうか。その企業へ告ぐ。アイデアと技術を見せてもらおうではないかか。大きな勇気が必要だということをお忘れなく。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。 原文へ
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