みずほ証券がジェイコム(現ジェイコムホールディングス)株式を誤発注した事件に絡み、みずほ証券が東京証券取引所(東証)に対して損害賠償を求めていた裁判で、東京地方裁判所は12月4日、東証に107億円1212万8058円の支払いを命じた。
この事件は2005年12月8日、みずほ証券がジェイコム株の売買注文の際に、1株61万円の売り注文を誤って61万株1円と発注してしまったことに端を発する。当時、ジェイコムの発行済み株式総数は1万4500株だった。
みずほ証券の担当者は発注端末に表示されたアラームを自ら解除していた。ただし、みずほ証券が誤発注に気付いて、複数回にわたり取消注文をしたものの東証のシステムが受け付けず、売り注文が成立してしまった。このため、みずほ証券には407億円の損失が発生した。みずほ証券は、注文を取り消せなかったのは東証の売買システムの不具合が原因だとして、2006年10月、東証に対して損害賠償請求訴訟を起こした。
東京地裁はこの問題について、東証が売買を停止できたと裁判所が判断した時点からの損失のみを対象とし、そのうちの7割を東証が支払うよう求めた。
今回の判決について、東京証券取引所グループ 代表執行役社長 斉藤惇氏は「控訴も含めて、判決の内容を十分検討する」とコメント。2週間以内に対応を決めるという。ただし判決の内容については、「『発行済み株数の数倍もの注文があったのだから常識的に注文を止めるべきだ』と言われても、取引所が他人の注文を取り下げる権利はない」とし、7割の責任を負う判決が出たことについては「じくじたる思い」とした。
今回の判決により、東証は今期107億円の特損計上を求められる。業績への影響については「わずかながらも今期赤字になる状況は否定できない」とした。2010年度中に計画している株式公開については「2010年度中のしかるべきに、という方針は変わらないが、バランスシート上の影響は十分検討する」とした。
システム上の対策はすでにしているといい、投資計画には影響がないとのこと。なお、売買システムを開発した富士通に対しては、「裁判で履行責任がないことが認められているので、賠償などを求めることはできないだろう」と話した。
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