金融庁は9月15日、ジャパン・デジタル・コンテンツ信託の信託免許を取り消すと発表した。純資産額が信託業法上の免許基準額を下回ったほか、業務改善命令に対する取り組みが不十分であると判断したため。
ジャパン・デジタル・コンテンツ(JDC)信託は1998年に株式会社ジャパン・デジタル・コンテンツとして創業。投資家から資金を集め、ゲームやアニメ、映画などのコンテンツに投資するコンテンツファンドだ。政府の規制緩和を受け2005年に一般事業会社として初めて信託免許を取得した。
しかし、2008年6月に同社の元従業員が約8800万円を横領していたことが発覚。さらに、2009年には信託財産の流用や循環取引といった過去の不正取引が明るみとなり、4月末には5500万円の債務超過に陥った。
6月には第三者割当によって新株を発行し、資金調達を試みたが、払い込み時に一部失権したことで当初目標金額の約半分である3億4600万円しか調達できなかった。また、借入金による調達も、受け取った小切手が資金化できない事態となり、失敗に終わった。
この結果、JDC信託の6月末における純資産額は8700万円となり、信託業法上の1億円を下回った。
このほか金融庁は、JDC信託が顧客した説明とは違う取り扱いによって資金回収したことや、本来回収すべき資金が未回収になっているにもかかわらず有効な是正措置を取らなかったこと、運用先から支払われるべき資金が払われていなかったのに顧客に対して適切な説明をしていなかった点を重視。「これらは受託者としての善管注意義務を果たしておらず、信託業法第28条第2項に違反する」(金融庁)とした。
さらに、JDC信託が受託した資金の横領や流用、未回収といった問題について顧客に適切な説明をしていないこと、改善の取り組みが不十分かつ不適切なことから、信託免許を取り消すことにしたという。
金融庁関東財務局は同日付で業務改善命令を行い、免許取消の周知徹底をするとともに、解約などに対して対応すること、信託した財産の保全を徹底することなどを求めている。
今回の免許取消を受け、東京証券取引所はJDC信託の株式を管理銘柄に指定している。
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