社団法人 日本音楽著作権協会(JASRAC)が公正取引委員会から排除措置命令を受けた問題に関して、両者による第1回審判が7月27日、東京都千代田区霞が関で開かれた。JASRACは改めて公取委の「事実誤認」を強く主張した。
審判は、2009年2月に公取委から出された排除措置命令に対するJASRAC側の請求に基づいて開催されたもの。JASRACは記者会見などで「公取委は誤った認識に基づいて排除措置命令を出している」(理事長の加藤衛氏)と発言するなど徹底抗戦の構えを見せ、発令の根拠となった部分などを確認していくと話していた。
初の審判となった今回は、JASRAC側による審判請求の理由説明(意見陳述)がなされた。その中で、JASRACは「(包括契約を含む現在の体系は)著作権等管理事業法に基づいて文化庁へ届け出をし、日本民間放送連盟との協議に基づいて算出した数値(年間放送事業収入の1.5%)を採用している」と説明。放送局との交渉の結果、両者が合意した契約内容を独占禁止法違反だとするのは、「市場における自由な交渉に違法に介入するもの」と抗議した。
さらに、包括契約が広く海外で採用されている仕組みであることから、「(公取委の指摘は)グローバルスタンダードの否定にほかならない」と強く批判した上で、「使用料の水準は他国と比べて低額であり、他国からは引き上げ要請が来ているほど」とあくまでJASRACが利益追求団体ではないことを主張した。
また、排除措置命令の根拠として挙げられていた、他団体の管理楽曲の利用を妨げたとする件についても、「利用されなかったという情報自体、確かなものとはいえない」とけん制。放送事業者がイーライセンスの管理楽曲を利用しなかったということを日本民間放送連盟の当時の事務局次長が公取委に対して発言したということについても、「楽曲利用は各放送事業者の判断によるものであり、関係団体たる民放連からのヒアリング結果は信ぴょう性が乏しい」と懐疑的姿勢をみせた。
その他、命令の主文において「使用料金に、放送局が使った楽曲のうちJASRAC管理楽曲が占める割合が反映されていない」とされたことについても「どのような方法を採用すべきかが指示されておらず、違法性を示すものとは言えない」と主張。現状を違法とするのであれば、あくまで適法な仕組みを示すべきとした。
今回のJASRAC陳述を受けた公取委側の回答は9月14日に開かれる第2回審判で示される見通し。また、第3回審判が10月28日に開催されることが決まっている。
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