ワイヤレス&モバイルビジネスの発信基地となるイベント「ワイヤレスジャパン2009」で、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの携帯電話の通信3キャリアが、基調講演を開催した。「移動体通信ビジネスと端末開発の将来ビジョン」と題して行われた講演の内容を紹介する。
ボーダフォンの買収からiPhone投入まで、常に話題を提供し続けるソフトバンクモバイル。取締役副社長の松本徹三氏は「モバイル通信情報サービスの将来像とソフトバンクの戦略」と題して基調講演を行った。
「モバイルのマーケットもインターネットと掛け合わされる部分も持つ最大の成長分野。モバイルとインターネットが統合されたものが携帯電話である。それを考えたところ、大枚をはたいてもどうしてもモバイルの会社を持たなければならなかった」と松本氏はボーダフォンを買収した背景から話し始めた。
「このビジネスは一般ユーザーから毎月キャッシュがいただける。やっぱりこの分野は強い」とする通信事業だが、そのためには端末が重要であると松本氏は続ける。
ソフトバンクモバイルが考える、端末の決定要因は「値段」「LOOK&FEEL(見た目)」「機能」の3要素。この3つが均等に働き、そして基本機能として「電話とメールは最後まで残る」と言い切る。
1000万画素を超えるデジタルカメラ性能、モーションセンサー、と多機能化する端末内容に関しては、「携帯電話はどんどんパソコンに近づいている。しかし携帯電話は生まれながらのシンクライアントで、完全なパーソナルツール。さらに使いやすくトラブルフリーだ。こうした商品内容を考えると携帯端末はPCにより近づくが、PCとは別物であり続ける」と分析した。
「日本の携帯電話メーカーは、長い間日本が進んでいると思っていた。確かにiPhone以前は日本の端末が一番進んでいたが、iPhoneはもっと先まで進んでいた。iPhoneの魅力は大きなスクリーンと簡単で快適な使い勝手。そしてワンストップで世界の顧客にアプリを販売できるという仕組みだ」と、松本氏はiPhone登場時の衝撃を振り返る。
そんなiPhoneをライバルに持つ日本の端末については「必ず世界のトップグループになる」とし、それに必要なのは「OS」と言う。「日本の端末の弱点は、OSを作らないうちに機能をつけてしまったこと。機能の“建て増し”を続けることでわからなくなってしまった。しかしアンドロイドをはじめオープンなOSが登場してきた。これでソフト開発というハンディキャップがなくなる。ハードウェアの開発はそもそも日本が強い分野。ここで日本メーカーの強さが出てくる」とする。
次世代通信に関しては、HSPA+、R99/HSPAを採用するとしている。1.5GHz、2GHzともに、妥当性があれば一部LTEにアップグレードするが、松本氏は「すぐにはLTEにいかない」と慎重な姿勢を見せる。
「HSPA+は既存のR99/HSPAと後方互換性を持ち、帯域幅が10MHz程度であれば、スループットはLTEとさして変わらない。本格的なLTEの導入は技術の成熟と端末のラインアップを待つ必要があり、2012年、2013年ごろと考えられる」とし、「それ以上に重要なのはカバレッジとキャパシティ」と続ける。
「本当に重要なのはビットあたりのコスト。緻密に計算してどうすれば一番安くて、キャパをとれるかが大事だ。そしてそれ以上にしんどいのがカバレッジ。高層ビルができたらカバー範囲が変わってしまう。また、屋内に入ったらWi-Fiに切り替えるなど、さまざまなテクノロジをうまく使い分けてインテグレートする必要がある」とした。
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