「Jaguar」(ジャガー)が懸命に追いかけるも、「Roadrunner」(ミチバシリ鳥)が引き続き先頭を独走し、スーパーコンピュータの集団を置き去りにしている。
これは、ドイツのハンブルグで現地時間6月23日午前、「International Supercomputing Conference」(ISC)において発表されたスパコン世界最速ランキング「TOP500」の結果だ。同ランキングは毎年2回、6月と11月に発表される。
米エネルギー省(DOE)のロスアラモス国立研究所が保有するIBM製のスーパーコンピュータ、通称Roadrunnerは、前回の2008年11月に獲得した首位の座を維持している。TOP500ランキングのベンチマークアプリケーション「LINPACK Benchmark」によれば、Roadrunnerは1.105ペタFLOPS(1ペタFLOPSは毎秒1000兆回の浮動小数点演算を行える処理能力を意味する)を実現したという。前回に続いてRoadrunnerの後塵を拝したのは、DOEのオークリッジ国立研究所が保有するシステム「Cray XT5 Jaguar」で、1.059ペタFLOPSを記録した。
2009年6月のTOP500では、これら上位2位に変動はないが、複数の新顔が上位10位の中にランク入りしており、それらは米国内のものではない。新しいIBM製コンピュータ「JUGENE」は、ドイツのユーリヒ総合研究機構(FZJ)に設置されており、825.5テラFLOPSを実現してランキングの3位に入った。FZJは、10位のスパコン「JUROPA」も保有している。JUROPAはBullの「Novascale」サーバとSun Microsystemsの「Sun Blade 6048」サーバを組み合わせたもので、274.8テラFLOPSを達成した。
世界最速コンピュータ上位10位の残りは、すべて米国内に設置されている。だが、米国外の施設には注目を要するものが一部ある。サウジアラビアのアブドラ王立科学技術大学(KAUST)が保有するIBM製の「BlueGene/P」システムは14位に入り、中国の上海スーパーコンピュータセンター(SSC)が保有する曙光(Dawning)製の「Dawning 5000A」は15位に入った。
TOP500にランク入りするためのハードルは、2009年6月に一層高くなった。最下位となる第500位のコンピュータのベンチマークスコアで比較すると、2008年11月では12.64テラFLOPSだったのが、今回は17.1テラFLOPSになっている。上位500位のスパコンのベンチマークスコアを合計した数字にも同じ傾向がある。2008年6月には11.7ペタFLOPSだったのが、同年11月には16.95ペタFLOPSになり、今回は過去最高の22.6ペタFLOPSとなった。
ランキング上位を複数獲得したにもかかわらず、これらのスパコンに対し最大のサーバ供給企業であるIBMの全体的な優位は、Hewlett-Packard(HP)に脅かされてきた。IBMが設置済みシステム全体の性能でリードしているのに対し、市場シェアではHPの212台がIBMの188台を凌いでいる。
サーバ内部のプロセッサに目を向けると、Intel製品が最大のシェアを占めており、TOP500のうち399のシステム(全体の80%弱)に同社製プロセッサが搭載されている。IBMの「Power」プロセッサは2番目に多く採用され、55のシステムに搭載されている。
TOP500ランキング上位10位:
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。原文へ
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