B・ゲイツ氏:不況で財団の活動は困難になるも方針は変えず

文:Ina Fried(CNET News.com) 翻訳校正:編集部 2009年01月27日 16時03分

 Bill Gates氏は、現在の経済危機によって世界の人々の健康と米国教育の向上に重点的に取り組むという同氏の方針が変わることはないが、さまざまな問題が同氏の取り組みを困難にしていると語った。

 Gates氏は特に、援助予算が減少するとの今後の見通しもあるが、それ以上に、病気や飢えを減らす最大の要因はそれらの問題を抱える地域の根本的な成長だと指摘した。しかし、世界各国の成長はいま、行き詰まりを見せている。

 Gates氏は「これまでの経済的成功は目を見張るものがあった」とした上で、「(経済成長の)速度が減速したり、一時的に後退局面に入れば、事態は非常に深刻だ。それにより、多くの重要な取り組みが阻害される」と語った。

 Gates氏のコメントは、Bill & Melinda Gates Foundationが現在の取り組みの進捗状況に関する公開書簡をリリースした後に行われた記者らとの電話会議の中で語られた。

 同財団は、2009年の支出額を増額する計画だ。またGates氏は、ニーズが高まる中、他の財団にも同様の行動を検討するよう促すと語った。しかし、Gates氏は、同財団の資産が今後も減り続ければ、2010年に予算を増やせなくなると見ている。

 Gates氏は、「(2009年の)市場が2008年ほど悪ければ、(2010年は)予算を増額しないだろう」とし、さらに「皆さんと同様、われわれも先行きは不透明だ」と付け加えた。

 また全般的な優先事項について、Gates氏は、世界の最貧層に影響を与えているさまざまな病気の撲滅に向けた取り組みなど、同財団がこれまで取り組んできた分野を改めて取り上げた。同氏は、今でも年間100ドル以下で人命を救える場合が多々あると指摘した。

 Gates氏は、「わたしにとって、これは極めて切実な問題だ」とし、さらに「このような投資こそ行われるべきであり、現在の経済危機下でもそれは変わらないと考える」と語った。

 Gates氏は、将来の出来事を予言する手段や方法は持ち合わせてないと明言しながらも、特に米国では、長年にわたり持続不可能なほど高い支出率が維持されてきたことから、経済が正常な状態に戻るまでには数年かかる可能性が高いと指摘した。

 「これまで浪費を繰り返してきたのであれば、こうした支出率を取り戻すまでには長い年月がかかるだろう」(Gates氏)

 Gates氏は、現在と世界大恐慌当時とは状況が異なるとしながらも、現在、経済に圧力をかけている要因が数多く存在し、その多くが互いにもたれ合いの関係にあると指摘する。

 Gates氏は、「A社が人員削減を行うと、その影響が(中略)B社に及ぶ」とした上で、「われわれが目の当たりにしているのは影響の連鎖であり、その連鎖が経済に悪影響を及ぼしている」と付け加えた。

 Gates氏が非常勤会長を務めるMicrosoftは米国時間1月22日、同社初の全社的なレイオフを発表した。同社は向こう18カ月間に最大5000人の削減を計画しており、そのうち1400人削減が先週実施されたという。

 Gates氏は、同財団の公式サイト上のビデオで、同氏自ら発見した同氏が手掛ける2つの仕事の共通点に触れている。

 Gates氏は、「財団が(Microsoftと同じくらい)魅力あるものかどうかわかっていなかった」と述べた上で、「財団に(Microsoftと)同じ重要な要素、すなわち(難局を打開し)状況を大きく前進させる力が備わっていることは間違いない」と語っている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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