Appleの最高経営責任者(CEO)であるSteve Jobs氏は、米国時間1月6日に開催される、恒例のMacworldでの基調演説を、同氏および同社は明確に声明を出すことを避けてきたものの、主に健康上の理由でスキップし、療養に努めることとなる。
Jobs氏は5日、従業員宛ての手紙で、次のように記している。
この10年間で初めてのことだが、私はホリデーシーズンを、Macworldの基調演説準備に注力することなく、家族と一緒に休暇を楽しんでいる。
しばしばJobs氏の健康状態については、さまざまな過激な推測も飛び交ってきたが、同氏は、医者から「ホルモンバランスに問題があり、身体の健康を維持するのに必要なプロテインの吸収が妨げられている」と診断されたことを明らかにした。また、以下のような説明を加えている。
この栄養上の問題の治療法は、比較的単純で簡素なものであり、すでに治療が始まっている。とはいえ、このように体重が減少したのは、1週間や1カ月といった期間の問題ではないため、医者は、体重の回復は今春以降になるとの見込みを伝えている。
Appleは、2008年を通じて、さまざまなJobs氏の健康を巡るうわさに悩まされてきたが、Jobs氏の著しい体重減少の原因として、何ら多くの人々が心配しているような懸念すべき事態などないとの姿勢を貫いてきた。Appleは12月、多くの人々が期待していたMacworldの基調演説を、Jobs氏が行うことはないとの発表で、大いに周囲を驚かせたが、その理由としては、今後もはや参加しないイベントに、大きな投資をしていく意味などないとの決断が、その原因であると主張してきた。
とはいえ、行間を読んで到達する結論は、Appleの主張してきた原因ではなく、Jobs氏の健康問題こそ、一連のMacworldを巡る決定の背後にあると言えるだろう。しかしながら、5日にAppleが出した90語の声明の中では、Macworldについて、まったく言及されることなく、Jobs氏の「治療機関を通じて、同社としても、変わらぬ万全のサポートを提供していく」と述べるにとどまっている。
Jobs氏は手紙の中で、2009年の晩春までかかると見られる、同氏が「単純で簡素な」と評する治療によって、再び体重の回復に努める間も、CEO職にとどまることを明らかにしている。同氏は「これまで11年の間、私はAppleに、まさに自分のすべてを賭けてきた。もしAppleのCEOとしての職務を果たせなくなるならば、自ら率先して、そのことを取締役会に伝えることになるだろう」と記している。
AppleおよびJobs氏が、一連の健康問題に関する懸念こそ、大きな決定要因となっていたことを、すでに数週間前に知っておきながら、今回のような形で、Jobs氏不在のままMacworldに臨むことを説明したのは、疑惑を招く可能性もある。財政上の問題に関する具体的な情報に関しては、その扱いを巡る厳しい指針が存在するものの、企業が、どのように健康問題を扱うべきかを定めた明確な指針は存在しない。
だが、Jobs氏がMacworldの基調演説を行わない理由が、健康問題にあるという事態が、Appleの株価に深刻な打撃をもたらすことなど、IT業界に脈がある人なら、だれでも明白に理解できることである。それにもかかわらず、Appleの関係者は、12月の最初の発表後、Jobs氏の健康問題を巡る一連の質問への回答を拒み、Jobs氏が基調演説を行わない唯一の理由は、Macworldからの撤退を決断したゆえであるとの説明を一貫して続けてきた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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