ソニーの感覚が一般常識からずれていることを示す最新の事例が、米国時間12月11日に明らかになった。同社の音楽部門、Sony BMG Music Entertainmentが、13歳未満の児童に関する情報を不正に収集したとして罰金を科されたのだ。
ソニーは米国時間12月11日、保護者の承諾を得ずに3万人の児童に関する情報を収集した問題で、連邦取引委員会に100万ドルを支払うことに同意した。Associated Press(AP)によると、同社は数百ものファンサイトからデータを収集し、「Children's Online Privacy Protection Act」に違反したという。その中には、Kelly ClarksonやBritney Spears、Christina Aguileraなどのファンサイトもあった。
ソニーの関係者にコメントを求めたが、回答はなかった。
ソニーのスキャンダルが増え続けることで、この巨大複合企業には初歩的なパブリックリレーションズ(PR)の知識を持つ人物がいないのではないか、という疑念が生じている。もしそうなら、早急にしかるべき人材を見つけて、マーケティングに熱中しすぎて今回のような馬鹿げたアイデアを思いつく担当者にお灸をすえさせるべきだ。
あるいは、2007年に開催された「PlayStation 2」用ゲーム「God of War II」のプロモーションパーティーが、ソニーに対する国際的な非難を招いたこともある。このパーティーでは、ギリシャ神話をテーマにしたGod of War IIに合わせ、「劇的演出」の一部として、雇われた美しい女性たちがトップレスで参加者にブドウを配って回ったのだ。それでも物足りなかったのか、会場の中央に置かれた飾りは、内臓がこぼれ落ちそうな具合に仕上げられたヤギの「死体」だった。
ソニーの「悪趣味」に対して、世界中で動物愛護活動家や批判派が糾弾した。同社は謝罪したうえで、何と、ヤギの死体を肉屋に返却したのだ(これは冗談ではなく、ソニーの実際の対応だった)。
それから、ソニー最大の失敗は、やはり音楽部門の不始末だった。
ソニーの事件の前、ルートキットは、筋金入りの技術オタクの中にも知らない人がいるほど、無名の存在だった。ところが今や、ルートキットと聞けば誰でもソニーを連想する。同社は2005年、コピー防止を強化するため、音楽CDに「MediaMax CD 3」と「Extended Copy Protection」(XCP)というプログラムを搭載した。この音楽CDをPCで再生すると、ルートキットと呼ばれるマルウェアがインストールされてしまう。ルートキットというのは、コンピュータの制御を乗っ取るために設計されたプログラムだ。
テキサス州の検事総長はソニーを提訴し、スパイウェアをコンピュータにインストールさせたと告発した。ニューヨーク州とカリフォルニア州では集団訴訟も起きた。この出来事は、その後何年も尾を引いた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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