ドワンゴは11月14日、子会社のニワンゴと共同で運営している動画コミュニティサービス「ニコニコ動画」について、2009年6月に単月黒字化する計画であることを明らかにした。同時に、現在顧問を務める夏野剛氏が取締役に就任し、「エヴァンジェリスト」という肩書きで活動する予定であるとした。
ドワンゴはこれまでも、ニコニコ動画を2009年9月期中に単月黒字化するとしていたが、詳しい時期を明らかにしたのは今回が初めてとなる。
ニコニコ動画の単月費用は10月時点で約3億1000万円。これに対し、収益は2億円弱と赤字が続いている。同社は、プレミアム会員と呼ぶ有料会員の月額利用料、広告収入、「ニコニコポイント」という有料ポイント収入の3つを伸ばすことで黒字化を図る考え。
ニコニコ動画の会員数は11月12日に1000万人を突破し、順調に増えている。その一方、有料会員の数は11月13日時点で21万5000人と当初想定ほどは増えていない。今後は有料会員のみが利用できるサービスなど、「わかりやすいものからわかりにくいものまで、優遇施策を積極的に展開していく」(夏野氏)ことで、2009年9月までに有料会員を36万人へと増やす計画だ。
すでに「ニコニコ生放送」という生中継サービスでは、定員を超える視聴者がいる場合有料会員が優先され、視聴途中であっても無料会員の接続が切られる「追い出し」(ドワンゴ代表取締役社長の小林宏氏)を始めた。「ちょっと露骨だが、しょうがないかという評価をいただいている」(小林氏)。有料会員数は9月まで横ばいの状態だったが、11月は2週間で7000人増えるなど、増加ペースになっているとのことだ。
広告収入については、広告枠を増やし単価を上げることで増加を図る。10月には動画視聴画面などのデザインを変更し広告枠を増やしたことで、広告出稿数も伸びているという。夏野氏は、「ニコニコ動画はネット媒体のリーチ数ではトップ10に入っている。広告収入でもトップ10に入りたい。自分はネット業界にも広告代理店にもネットワークがあるので、それを生かした大掛かりな仕掛けを考えている」と話し、利用者数の多さを生かした広告商品を企画していることを明かした。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」