米司法省は米国時間11月12日、シャープ、韓国のLG Display、台湾のChunghwa Picture Tubes(CPT)の3社が液晶ディスプレイに関して価格操作の謀議に加わったとの罪状を認め、総額5億8500万ドルの罰金を支払うことに同意したと発表した。
司法省の反トラスト規制当局によれば、上記3社は互いに連携し、薄膜トランジスタ(TFT)液晶ディスプレイの価格を操作したという。TFT液晶は、コンピュータのディスプレイ、ノートPC、テレビ、携帯電話など、さまざまな電子機器に使用されている。
同局はこの価格操作により損害を被った企業として、Apple、Dell、Motorolaなどを挙げている。
司法省の反トラスト局を担当する司法長官補佐のThomas Barnett氏は声明で「この価格操作謀議は、コンピュータや携帯電話、その他多くの家電製品を毎日使う米国の消費者に、数百万人規模で影響を及ぼした」と述べた。
シャーマン反トラスト法違反の容疑で告発された3社は、「クリスタル」と名付けた会議を開いて、TFT液晶ディスプレイの価格設定を打ち合わせたという。司法省によると、3社はディスプレイ価格をあらかじめ設定することに同意し、この同意に基づいて価格見積もりを発行したほか、同意が守られているかを監視し、これを確実に実行するため、ディスプレイパネルの販売情報を交換していたとのことだ。
LG Displayは4億ドルの罰金を支払うことに同意した。これは反トラスト法違反の罰金としては過去2番目に高い金額だ。同社は2001年9月から2006年6月にかけて複数の納入業者(名前は明かされていない)とともに、世界規模でTFT液晶パネルの価格操作を行った罪を認めた。当時、LG Displayは、LG ElectronicsとPhilips Electronicsの合弁企業として、LG Philips LCDの社名で営業していた。また、LG Display AmericaもLG Philips LCD Americaという名前だった。
いっぽう、シャープは2001年4月から2006年12月にかけて、複数の納入業者(名前は明かされていない)とともに価格操作謀議に加わっていたとして、1億2000万ドルの罰金の支払いに同意した。この謀議にはDell向けに販売されたTFT液晶パネルに関する3件の価格設定合意が含まれている。DellはコンピュータのディスプレイとノートPCに問題のパネルを使用していた。
さらに2005年秋から2006年中ごろにかけては、Motorolaに販売するパネルに関して、同様の価格操作を行っていた。このパネルは同社の人気携帯端末「RAZR」に使用されていたものだ。
シャープの価格操作は、2005年9月から2006年12月にかけてAppleに対しても行われた。Appleは同期間、人気の音楽プレーヤー「iPod」に問題のパネルを使用していた。
Chunghwaは、2001年9月から2006年12月にかけて問題の価格操作謀議に加わったとして、6500万ドルの罰金支払いに同意した。
司法省は、本件の調査を2006年に開始したが、調査は今なお継続中だという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス