NASAハッカー、米国への身柄引き渡しで敗訴が確定

文:Tom Espiner(CNET News.com)
翻訳校正:ラテックス・インターナショナル
2008年09月01日 17時30分

 Gary McKinnon被告が、米航空宇宙局(NASA)および軍事施設へのハッキングの嫌疑による米国への身柄引き渡しに対して異議を申し立てていたが、敗訴した。

 McKinnon被告は、身柄引き渡しを不服として、欧州人権裁判所(ECHR)に上訴していた。「第39条」に従って、市民は、人権が侵害されると考えられる場合、身柄引き渡し手続きを停止する緊急申請を行うことができる。

 McKinnon被告の弁護団は現地時間8月28日、申請が却下されたとする声明を送付した。弁護団は声明で、「本日、欧州人権裁判所はMcKinnon氏の第39条の仮救済の申請を棄却した」と述べた。

 3週間前、McKinnon被告の弁護団は申請書をECHRに提出した。申請書の条項により、イギリス政府はMcKinnon被告の引き渡しができなくなっていたが、現在、この法的措置は解除されている。

 弁護団は声明の中で、「8月12日にECHRから認められた、依頼人の身柄引き渡しの一時禁止が解除され、イギリス当局は自由にMcKinnon氏を米国に引き渡すことができるようになった」と述べた。

 McKinnon被告の弁護士を務めるKaren Todner氏は8月28日、ZDNet.co.ukに対し、McKinnon被告の法的な異議申し立ての選択肢はなくなったと語った。「法的な異議申し立て、訴訟手続きの面で、私たちにできることはすべて尽くした」

 しかし、Gary McKinnon被告は最近、アスペルガー症候群と診断された。Todner氏は、治療のためにMcKinnon氏がイギリスで裁判を受けられるよう、Jacqui Smith内務大臣に書簡を書いたと述べた。

 「私たちは、内務大臣に対し、McKinnon氏が国内にとどまれるよう再考を求める書簡を書いた。内務大臣に医学的証拠を提出するため、2週間の猶予を求めた」(Todner氏)

 この申請が内務大臣によって却下された場合、McKinnon被告は2週間以内に引き渡される可能性がある。Todner氏は、通常、飛行機の手配には10日かかると述べ、さらに、本来ならば被告人は収監されない代わりに、警察が弁護士に、飛行機が離陸する数時間前までに被告人が警察署に出頭することを要請する、と述べた。

 McKinnon被告が有罪となった場合、最長60年、米国の刑務所に収監されることになる。McKinnon被告は米国政府のシステムに不正侵入したことを認めたが、UFOを探索していたと主張し続けた。「家族はひどく動揺している」とTodner氏は述べた。

 Todner氏は、申し立てられている犯罪はイギリス国内で行われたため、起訴はイギリス当局によって行われるべきだと付け加えた。「私たちの依頼人は今、家族から何千マイルも離れた、これまで足を踏み入れたことのない国で、起訴、収監される可能性に直面している」

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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