NVIDIA、レイトレーシング技術開発のRayScaleを買収へ

文:Brooke Crothers(CNET News.com) 翻訳校正:佐藤卓、高森郁哉2008年05月26日 12時32分

 NVIDIAは米国時間5月23日、レイトレーシング技術を開発している小規模企業RayScaleを買収することを認めた。ただし、この買収の金銭的な条件は明らかになっていない。

 レイトレーシングは、Intelがこの6カ月間たびたび言及している技術だ。Intelが同社のブログに「リアルタイムのレイトレーシングは、ラスタライズの終わりを意味する?」と題した記事を投稿したことと、のちに同社幹部らがレイトレーシングの自社プロセッサへの採用を検討していると述べたことをきっかけに、メインストリームのゲーム業界におけるレイトレーシングの有効性について議論が始まっている。

 PC向けのグラフィックス技術では現在、ラスタライズが採用されている(レイトレーシングとラスタライズの比較についてはこちら)。

 レイトレーシングは、きわめて複雑な光の相互作用を利用して3次元グラフィックスを描画する技術で、たとえば、表面を透明にしたり影をつけたりすることで、写真のように驚くほどリアルな画像を作り出せる。

 レイトレーシングでは高度な並行処理が必要となるが、5月22日に開催されたある会議で、NVIDIAの担当者らは、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)には高度な並行処理を実現する能力があると語った。NVIDIAの主任研究員、David Kirk氏によれば、GPUには、レイトレーシングにとって最適なグラフィック動作を実行できるように設計された、特別な機能のユニットが搭載されているという。

 この会議でKirk氏とRayScaleの研究員らが言及したのは、「GPUレイトレーシング」という技術だ。ただし、NVIDIAがこの技術をいつ市販製品に利用するのかは、まだわかっていない。

 RayScaleは、インタラクティブなレイトレーシングと写真のようにリアルなレンダリングを実現するソリューションを提供している。RayScaleの説明によると、同社の技術は「スピードとリアルさが劇的に向上し、プロのグラフィックス制作者はこれを使うことで、高品質の3次元コンピュータグラフィックスや写真のようにリアルなコンピュータ画像を作成できる」という。

 RayScaleによれば、同社の製品は、ユタ大学で10年にわたって行われたインタラクティブレイトレーシングの研究から生まれたものだという。

 一方、2008年4月に上海で開催された「Intel Developer Forum」で、IntelのシニアバイスプレジデントPatrick Gelsinger氏は、レイトレーシングを基盤としたレンダリング技術はハイエンドなゲームへの応用が可能になるという趣旨の同社のビジョンを明らかにした。Gelsinger氏は当時、「将来、メインストリームのゲームにこうした技術を導入できるようになると、われわれは考えている」と語った。

 だが、今のところIntelは、(比較的古いゲームの)「Quake 4」の一部分を8コアのシステム上で実行して見せた以外に、レイトレーシングへの取り組みの証拠をほとんど示していない。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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