日立製作所(古川一夫社長)が5月13日に発表した08年3月期の連結決算は、売上高が前年同期比で10%増の11兆2267億円、本業のもうけを示す営業利益は89%増の3455億円だった。情報システムや重電部門は好調だったが、薄型テレビ事業が価格下落や販売の伸び悩みなどで足を引っ張る格好となり、最終損益が581億円と2期連続の赤字となった。
売上高の内訳は国内が6兆4844 億円、海外が4兆7422億円。部門別では、情報通信システム部門が金融機関からの大型システム構築などの受注で前年同期比で12%増と好調で、電力・産業システム部門も国内の原子力発電の建設や欧州の石炭火力発電設備の受注などで18%増と伸びた。低迷していたHDD事業も業績が黒字化した。
一方、デジタルメディア・民生機器部門は、売上高が1兆5046億円、営業損益は1099億円の赤字。薄型テレビ事業の不振が響いた。大画面機種を中心とした薄型テレビの販売が低迷し計画に届かなかったほか、価格下落や原材料費の高騰が利益を圧迫。さらに、海外の販売体制や製品の見直しによる構造改革費用も赤字の要因となった。
決算を発表した中村豊明・執行役専務は「原材料費の高騰で原価が下がりにくい一方、製品単価は下がっていく点を考え、09年3月期も350億円の赤字を見込んでいる。いきなり黒字に戻すというマジックはないので、コストダウンと特色のある製品づくりが重要だと考えている」と述べ、薄型テレビを中心にしたAV事業の苦戦がしばらく続くとの見解を示した。
09年3月期連結での営業利益は10%の3800億円、最終利益は400億円を見込む。売上高については情報システム部門はシステム受注の大口案件が一段落し減少、重電部門は横ばいの見通しだが、業績が上向きなHDD事業などで利益を確保する考え。
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