伝えられるところによるとAppleとしては珍しく買収を実施し、低電力チップ設計会社のP.A. Semiを四半期(1-3月期)の決算発表の前日に取得した。
Forbesは米国時間4月22日遅く、AppleがP.A. Semiを2億7800万ドルという高くも安くもない価額で買収することに同意したと伝え、Appleの広報担当者であるSteve Dowling氏がこの取引を認めたという発言を引用している。P.A. Semiは、Appleがかつて採用していたPowerアーキテクチャに基づく低電力チップの設計会社として数年前に創業された。
AppleがP.A. Semiの買収で何を狙っているのかは不明だ。Appleが近い将来にチップ設計分野への進出を計画しているとは筆者には考えられないが、Appleが現在取り組んでいるように明確に次世代モバイルコンピューティングを視野に入れている企業にとって、低電力チップの専門家を迎えることはプラスにこそなれ、決してマイナスにはならないだろう。Forbesは、AppleはP.A. Semi製チップを「iPhone」に搭載する計画であると暗にほのめかしているが、これは一見していかにも道理に合わない。
P.A. SemiのチップはIBMのPowerアーキテクチャに基づいている。一方、iPhoneはARM命令セットに基づいたサムスン電子製のチップを採用している。発売からわずか1年でARMの低電力ロードマップに何らかの問題が発生したと思われることから、iPhoneのOS XオペレーティングシステムをPowerに移植しなければならないとAppleが考えているというのは、かなりのこじつけのように思われる。Intelとの既存の関係を考えると、Macで採用されているのと同じx86命令セットに基づいたIntelの低電力「Atom」プロセッサを採用するように何らかの移植の動きを見せているというなら(確実ではないとしても)まだ話はわかる。
それでもForbesは、P.A. Semiに近い筋からの発言を引用して、交渉はAppleの最高経営責任者(CEO)であるSteve Jobs氏が取り仕切り、その目的はP.A. Semiの「PWRficient」プロセッサをiPhoneと将来の「iPod」の心臓部に採用することであると伝えている。これが真実だとすると、IntelのAtomプロジェクトにとって大きな打撃であると指摘している点でForbesは正しいが、筆者はこの早い時点でP.A. Semiやその従業員に関するAppleの最終的な計画について断言してしまうことには疑問を感じる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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