米国時間4月8日、「RSA Conference」の基調講演を行った米国土安全保障省のMichael Chertoff長官は、サイバー攻撃によるリスクが増大し、あまりにも深刻な結末をもたらすようになっているため、米国にはネットワークセキュリティ版の「マンハッタン計画」が必要だと語った。
「攻撃にどのように対処するかという点で、われわれはゲームのやり方を変える必要がある。(George W. Bush)大統領は2008年1月、国土安全保障に関する政令に署名した。これは、米国のサイバーセキュリティを主導するもので、(中略)マンハッタン計画のようなものだ」とChertoff氏は述べた。
「サイバー攻撃によって、テロリストや犯罪者は、実世界では決してなし得ない種類の損害を与えられるようになっている」(Chertoff氏)
Chertoff氏はまた、エストニア政府機関のサーバが、ボットネットによるサービス拒否(DoS)攻撃によって約2週間閉鎖させられた2007年の事例を引き合いに出して、「(サイバー攻撃は)単純ないたずらの範囲を超えており、政府が自国を統治するにあたって現実的な脅威になっていることを示している」と語った。
「この数年間で、一個人、少人数のグループ、あるいは一国が、こうした損害や混乱を引き起こせるようになっている。これは、以前なら爆弾を落とすか爆発物に火をつけない限り起こせなかったようなことだ」(Chertoff氏)
米国政府は、こうしたサイバー攻撃を防ぐ先進的な警告システムの開発に取り組むために、シリコンバレーなど米国中にいる民間部門の「最高に優秀な人材」を求めている。
「われわれが直面しているのは非常に重大な問題で、時がたつほどますます深刻になりそうなものばかりだ。われわれが取り組んでいる分野は、従来の軍事力や政府の力ではその脅威が持つあらゆる性質に十分対処できないような分野なのだ。指揮官制による対応ではうまくいかなくなるだろう。ネットワーク攻撃に対処するには、ネットワークによる対応が必要だ」(Chertoff氏)
講演後の質疑応答の際、Chertoff氏は、共通の国民IDカードを作るという米政府の「Real ID Act」を擁護した。Chertoff氏の説明によれば、このIDカードは米国の建物や飛行機をテロリストからより安全に守るものだという。しかし、反対者らは、見込まれるメリットよりも不便さとプライバシーへの懸念の方が重大だと主張している。
Chertoff氏は、IDカードを持たない乗客の搭乗を認める飛行機と認めない飛行機を選べるとしたら、というたとえを出して、こう問いかけた。「みなさんなら、自分の子どもをどちらの飛行機に乗せるだろうか?」
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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