アッカ・ネットワークス社長の木村正治氏は2月14日、筆頭株主であるイー・アクセスから経営幹部の退陣を求める株主提案が出されている件について、改めて「株主価値の向上につながらない」と反論を表明。今後、委任状闘争に発展する可能性については「検討している」との発言にとどめた。
同社の2007年12月期連結決算発表の席で発言した。
アッカ・ネットワークスは今後の成長の柱となる事業を次世代無線通信の本命と言われている「WiMAX」に絞り込み、2006年から同事業参入準備を進めていた。しかし、総務省は2007年12月21日、KDDIとウィルコムの両陣営にWiMAXの免許を交付すると発表。これにより、アッカの思惑が反転し、今後の成長性が不透明となったことで、大量の失望売りを受けて株価は低迷していた。
これに対し、イー・アクセスはアッカ株の保有比率を1%程度引き上げるとともに、経営陣の責任を追及。経営陣刷新などの株主提案を行うとともに、3月に開催される定時株主総会に向けて議決権の委任状の勧誘を始めている状況にある。
木村氏は会見で、2007年12月期連結決算の利益面が目標を上回ったことを強調。売上高は前期比10%減の350億円と目標に16億円ほど届かなかったが、コスト改善を図ったことなどで、営業利益は同6%増の約20億円と目標を1億円上回った。
これにより、WiMAX事業計画中止損を特別損失として5億円超計上したものの、当期純利益は同39%増の15億円弱となり、これも目標を1億円近く上回ったと自己評価した。
さらに、当初予定していたMiMAX事業の代替案となる新規事業として?NTTドコモとHSDPAによるMVNO?ウィルコムおよびNTTコミュニケーションズとの共同事業検討?トリップゲートとの協業によるWiFi?CATV向けのWiMAX関連コンサルティング――を行うことで、2010年までに60〜70億円規模の新規事業を創出すると説明。今期は年間配当を前期の1.5倍となる7500円と増配することも付け加えた。
イー・アクセスの動向については、「具体的に株主価値を向上できる案が提案されるのであれば理解はできるが、経営陣の退陣で株主価値が向上するとは思えない」(木村氏)と反論。委任状闘争に発展する可能性については、「現段階では検討しているとしか言えないが、我々は株主構成を熟知しており、法人の株主を中心に説明は行っている」(同)と発言するにとどめた。
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