ニューメキシコ州ホロマン空軍基地発--テキサスに拠点をおくArmadillo Aerospaceは2年続けて、Wirefly X PRIZE Cupの孤独なスターだった。
X PRIZE Cupとは、先進技術をたたえるロケットフェスティバル(米国時間10月26日から28日開催)で、主催者の願いは宇宙旅行を手頃な価格にしていつの日か一般人を宇宙飛行士にすることだ。しかし実際のところは、繰り返し使用できる月面着陸機を開発し発射するため、米航空宇宙局(NASA)が提供する賞金総額200万ドルを競うコンテストを中心に展開しているイベントだ。Northrop Grumman Lunar Lander Challengeと呼ばれるこのコンテストの、成功者はいまだ出てない。
コンピュータゲーム「Doom」の制作者、John Carmack氏が設立したArmadilloは、9つのエントリーチームのうち、この週末に機体を飛ばせる体制を整えられた唯一のチームだった。だが、このチームでさえも、2度以上の飛行を完了させることができず、挑戦は2008年へと持ち越された(Armadilloは、2006年のコンテストでも実際の飛行にまでこぎつけた唯一のチームだった)。
「賞金は誰かが勝ち取るまでそのままでおかれる」とNASAの広報担当Ken Davidian氏はイベントで語った。
熱気を盛りあげ参加をうながすため、X PRIZE Cupは今回初めて、ニューメキシコ州とテキサス州の境界から約1時間の場所にあるホロマン空軍基地での航空ショーと一緒に実施された。主催者はこの共同イベントで5万人から10万人の来場者を期待していたが、この週末に集まった人々の状況から判断すると、観客数は予想された数には遠く及ばなかったようだ。
残念なことに、X PRIZE Cupに対する2006年と2007年のメインスポンサーである携帯電話販売業者Wireflyが、開催数週間前になって50万ドルの資金提供から手を引いた。たぶんこのせいで、どんな小さな動きも見逃さずに追える超大型スクリーンのような、観客に優しい設備の設置が縮小されてしまったのだろう。
もちろん、何もかもが失敗だったわけではなかった。スカイダイバーやジェット戦闘機のデモ飛行、新旧の軍事飛行機やヘリコプターの展示などがあった。ホットドック売り場や綿菓子売り、そして子どもがロケットを打ち上げたり「Google Earth」で地球を見たりできるシミュレーションゲームもあった。しかし、ロケットへの取り組み、熱い競争、新時代の幕開けの約束といった点で、このイベントは期待はずれだった。
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