ワシントン発--コンテンツ制作者と販売業者は、より多くの「セーフガード(著作権保護手段)」を導入することにより、海賊行為に対抗して団結しなければならない。Viacomの最高経営責任者(CEO)であるPhilippe Dauman氏が米国時間10月2日に述べた。
Dauman氏は、米国のビジネスロビー団体である全米商工会議所主催の海賊行為撲滅サミットの初日に、多数の出席者を前に講演を行った。その中で、同氏は、著作権保護機能や電子透かしのようなフィルタリングツールが広く普及していくことで、「今後、世界は、かつてないほど多くの創造的作品が生み出される時代に突入するだろう」と指摘した。
Dauman氏は、今や「あらゆる種類の知的財産権」は「マウスをクリックするだけで」かつてないほど容易に複写可能だ、と嘆いた。ただ面白いことに、Dauman氏がこのような発言をする一方で、最近、ごく少数の大手メディアベンダーがデジタル著作権管理(DRM)機能の使用を避ける方法をとってきている。先ごろでは、Amazon.comがAppleのiTunesへの対抗策の一環として、DRMフリーのサービスを発表している。DRM機能は、消費者の不満を生む原因として認識されてきた。
しかし、Viacomは「変化に逆らうメディア企業」ではない、とDauman氏は主張する。同社は現在、他のどの企業よりも多くのビデオ番組をモバイル機器に配信している。同社はまた、多数の公認サイトを運営し、先ごろも「FLUX」と呼ばれるソーシャルネットワーキングプラットフォームを発表した。同社は、2007年のデジタル関連事業の売り上げを5億ドル以上と見込んでいるという。
Viacomは(コンテンツの)公正使用を支持しており、同社の人気キャラクターを「インターネットの隅々まで」浸透させたいと考えている。そのためには、コンテンツを制作した「アーティスト」に公正な報酬が支払われることが絶対条件だ、とDauman氏は語る。
「ライセンスの有無を確認するために、すべてのコンピュータをチェックしたり、すべてのユーザーを監視するのは明らかに不可能だ。また、われわれもそのようなことはしたくない」(Dauman氏)
それでも、コンテンツアグリゲーター、インターネットサービスプロバイダー(ISP)、ホスティング会社、ウェブサイト運営者は、自ら海賊版撲滅運動に貢献する必要がある、とDauman氏は指摘する。同氏によると、すでにケーブル企業数社がViacomと「協調的に」連携し、ネット上にコンテンツを無断で掲載している人々に通知を送付しているという。また同氏は、AT&Tが「(海賊版製品の検知を目的とした)新しいネットワークツールの可能性を実現した」として同社を称賛した。
しかしViacomには新たな法律は必要ない、とDauman氏は語る。実際、同氏は2007年はじめに映画業界が提起した議論に言及し、ISPによる自社ネットワークの運営方法を規制する新法の制定は、海賊版撲滅運動を阻害しかねないと指摘した。また同氏は、自由市場は規制をかけずそのまま自由に運営させる方が賢明だ、と付け加えた(Dauman氏は名称こそ挙げなかったが、同氏がネットの中立性に言及していたのは明らかだ。ネットの中立性とは、ブロードバンドプロバイダーが自社ネットワーク上で配信されるコンテンツのみを優遇することを認めるべきでないとする考え方)。
一方、米国政府も通商会議を通じて、海賊版撲滅運動に協力的な国を募ることは可能だ、とDauman氏は指摘する(これは著作権強化を訴えるロビイストらの間では決して新しい考えではない。現に、米国のさまざまな著作権ポリシーが通商協定の一環としてすでに他国に輸出されている)。
またDauman氏は、著作権者らが嫌う2つのサイトに対しても言及した。1つ目は、スウェーデンに拠点を置くBitTorrentファイルの追跡サイトであるThe Pirate Bayだ。同氏によると、このサイトは、映画館で上映される前の新作映画をネット上で配信しているという。Dauman氏はまた、Viacomが2007年に入ってからGoogle傘下の動画共有サイトYouTubeに対して提起した注目の著作権侵害訴訟についても言及し、次のように述べた。「この訴訟は間違いなく、デジタル時代に存在するすべてのメディア、コンテンツ所有者の権利と責任が明確になる画期的な訴訟となるだろう」
Googleは、同社自体がソフトウェアの知的財産権に依存しているにも関わらず、Viacomやその他の著作権者から著作権侵害で提訴されるというのは何とも皮肉なことだ、とDauman氏は述べ、最後に「信じられない」と付け加えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ
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