Adobe Systemsはこれまで、いくつかの製品にオープンソースソフトウェアを採用してきたが、同社の主力製品である「Creative Suite」シリーズは今後もプロプライエタリのままとなりそうだ。
Adobeのクリエイティブ製品担当幹部のJohn Loiacono氏は、米国時間8月19日付けのブログへの投稿の中で、オープンソース製品について歯に衣着せぬ率直な意見を述べた。オープンソース製品は無料で入手可能である一方、クリエイティブプロらが時間の浪費を余儀なくされるという欠点がある。この点についてLoiacono氏は、書き込みの最後で「時は金なり」と述べている。また同氏は、Eric Vreeland氏のブログへの投稿にリンクを張っている。Vreeland氏はその中で次のように述べている。「最近、あるオープンソースソフトウェアをインストールしたが、そのソフトのデバッグに膨大な空き時間を浪費した。費やした時間を時給換算すると、同等の商用ソフトウェアのカタログ価格を上回る、かなりの金額になる」Vreeland氏は2500ドルのCreative Suite Master Collectionを選んだ。同製品には、Photoshop、Premiere、Illustratorなど、12種類のAdobe製品がバンドルされている。
Loiacono氏は、Sun Microsystemsのソフトウェア担当幹部として成し遂げたオープンソース分野での実績についてもきちんと述べている。同氏は、SunのSolaris OSをオープンソースソフトウェアとしてリリースする業務の大半を監督した。しかし、今回のケースでは、Loiacono氏の論理はやや安定性を欠いている。
Loiacono氏は、「言うまでもなく、私はAdobeのクリエイティブ製品戦略にオープンソースが必要か考えた。しかし、設計者らが必要としているのは、強固に統合されたワークフローと細かい設定なしにすぐに得られる高い信頼性だ。よって、真に重要な問題はユーザーにどのような影響があるかという点だ」と述べた上で、次のように結論付けた。「オープンソースソフトウェアは完璧なソリューションとなりうる。ただ、すべての物に適しているわけではない。また、すべての人に適しているわけでもない。例えば、締め切りに追われている、あるいは統合より革新を好む多くのクリエイティブプロらには向かない」
物事をユーザーの視点から見るのは結構だが、今回のケースでは、それでは誤った二項対立につながる。Loiacono氏は、InkscapeやGimpなどのオープンソース製品は検討の対象から外しているようだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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