世界中の起業家やベンチャーキャピタル(VC)事情に精通し、ベンチャー市場にフォーカスしたイベントを数多く開催している米Red Herringが、7月23日と24日の2日間、同社にとって日本初となる起業家のためのカンファレンス「Red Herring Japan 2007」を開催した。同社が今日本でこのイベントを開催する背景には何があるのか。イベント主催者であるRed Herring 会長のAlex Vieux氏に、今回のイベント開催の背景について、そして日本のベンチャー企業の課題について聞いた。
アメリカと違って、日本にはまだベンチャー企業が育つカルチャーがありません。つまり、日本の起業家は孤独だと思うのです。アメリカには起業家カルチャーがすでにできあがっているので、理解者も多い。ベンチャー企業が抱える問題は世界各国共通ですが、こうした情報を共有できる場が日本にはあまりありません。情報共有の場を設けるためにも、こうしたイベントの必要性を感じました。
資金調達や人材確保が困難なこと、そしてベンチャー企業に対して顧客が懐疑的になりがちなことなどです。また、アイデアはあってもそれを完全に製品化できないことも多い。だから多くのベンチャー企業は2年と続かないのです。これは万国共通です。
日本は、モバイル分野やマンガ文化などで世界のリーダー的存在となっています。つまり、日本人はリーダーになる資質を持っているのです。また、日本は教育レベルも非常に高い。アメリカでは読み書きができない人が2000万人もいて、PCを与えられても文字がタイプできない人がいる一方、日本は識字率もほぼ100%でPCを使いこなせる術を持っています。つまり、日本人に必要なのは自信を持つことなのです。
あります。まずひとつは、単一民族国家であるため、多言語環境に免疫がないことです。私は、英語学習をもっと早い時期に始めるべきだと感じています。ただし、英語力よりも問題なのは、日本人は自意識過剰でシャイなため、あまり英語を話したがらないことです。外国人には、間違いだらけの英語でも、強いアクセントがある英語でも、気にせずに話す人が数多くいます。私だってその1人です。
また、起業家を育成するための土壌がないことも問題ですね。起業家育成プログラムなどがあればいいんですが。
日本に比べると、アメリカはもちろんですが、インドやイスラエル、中国などはVCの数が圧倒的に多いですね。現在アメリカには約8000のVCがいますが、日本では200程度ではないでしょうか。人口が日本の4分の1程度のカナダでさえ、約500のVCがいるのです。ファンドの額も日本は小さいのが現状です。
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