EMCジャパンは8月1日、7月1日付で同社の代表取締役社長に就任した諸星俊男氏の就任記者会見を開催した。新社長の諸星氏は海外でのビジネス経験も長く、米Fujitsu Computer Systemsの取締役社長 兼 CEOを務めた人物。EMC入社前は、富士通 経営執行役としてプロダクトマーケティングとグローバル戦略を担当していた。
諸星氏はまず、「EMCジャパンとして目指したいのは、顧客やパートナーから信頼される企業となること、そして社員が長く働きたいと思える会社にすることだ」と述べた。前社長のEdward J. Neiheisel氏については、「彼は日本語もうまく、内部固めが得意な人物だった」としており、外回りに強い諸星氏は「今度は顧客とのパイプを強くし、外から見てわかりやすい会社にしたい」とした。
そのためにも諸星氏は、EMCジャパンを「外資系企業の日本法人ではなく、日本企業としてのカルチャーを作り上げていきたい」と話す。また、製品についても「日本で売れたソフトを単に英語化しても海外で売れないのと同じで、日本で製品を販売するには日本語化ではなく日本化が必要」としている。製品などを完全に日本独自仕様にするにはコストがかかるが、「外国製品をそのまま日本市場で販売するわけにはいかない。できるだけ日本市場に合った仕様にしなくては」と諸星氏は主張した。
諸星氏は、こうした日本市場の重要性を本社に対しても強く主張しており、本社側もその意見を受け入れていると話す。それが諸星氏にとって、EMCへの入社を決意させたともいえる。「アメリカにいた頃からEMCの戦略には注目していた。その戦略にひかれたこともあるが、本社に対して発言力があるポジション(同氏は米EMCのバイスプレジデントでもある)を与えられたため、入社に踏み切った」と諸星氏は述べる。
ただしEMCは、グローバルにおけるシェアと比較すると、日本でのシェアはそれほど高くない。「それを世界レベル並みに上げるのがミッションのひとつ」とする諸星氏は、具体的なゴールとして次のように語った。
「短期的な目標としては、2008年にストレージハードウェアのシェアを最低でも10%、目標としては15%にまで拡大する。ストレージソフトウェアについては、最低でも15%、目標を20%とする。また、情報保護分野となるバックアップ、リカバリ、アーカイブのビジネスを拡大するほか、情報活用分野となるコンテンツ管理およびアーカイブビジネス市場を立ち上げて拡大していく。長期的な目標は、市場の2倍の速度で成長し、2010年に情報の保護、保存、活用、最適化という4つの分野でナンバーワンになることだ」(諸星氏)
質疑応答時には、古巣である富士通に関する質問も寄せられた。実はEMCと富士通は関係が深く、ヨーロッパのFujitsu Siemens ComputersがEMC製品の主要ディストリビューターとなっているほか、EMC社内でも富士通のサーバを数多く採用しており、諸星氏自身「富士通にいた頃、EMCに営業に行った」と話す。今後パートナーシップが強化される可能性はあるのかとの問いに諸星氏は、「仲間も多いので、いろいろ考えている。富士通もストレージに力を入れており、ハードウェアでは競合する面もあるが、EMCには富士通にはないソリューションもある。こうした面で協力し、昔の恩を返したい」と述べた。
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